小さな男 その8

今日も彼はいる
昼間から
公園のベンチに腰掛ける

どこにも行く当てがないのか
飯はどうしている

彼がどんな人間かは分からない
彼はずっとベンチに腰掛ける

静かな公園
彼以外誰もいない

彼はまるで空気のように
そこに居座る

ウインカーを付けずに
公園の前の路を
おもむろに曲がる車

そういえば今日は風がない
暖かな陽ざしがアスファルトを照らす

彼を横目に路を歩く
通り過ぎる彼の姿は
まるで壊れた時計の様に

遠くから聞えてくるサイレン
今が正午か


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