流れゆく外の景色を
ただじっと眺めている
日の落ちた街の景色に
特に真新しい変化はない
ふいに外の景色が闇に落ちる
窓の中に車内の景色が映し出される
じっと男がこちらを見ている
疲れた目をした男が
覗き込むようにして
"お前は一体どこへ行くつもりだ"
男は囁くように語り掛ける
どこへ？
そんなもの神様にでも聞いてくれ
その呟きに男は答える
"そうか為らば行くがいい"
"その先でお前が来るのを待っている"
頭の外
車内のアナウンスが駅名を告げる
帰ろう
アーシャのいるあの場所へ
旅はまだ終わってはいない
