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【3D Print New Normal】Stratasys3Dプリンターマテリアルのカラーチップ制作

発色の良いカラー透明マテリアルを利用出来るStratasysのJ8シリーズ3Dプリンターだが、CMYK指定にて混色を行う際には注意が必要であることがわかった。今回はそれぞれのマテリアルの比率によってどのような出力結果をもたらすのかをカラーチップを制作して検証する。

スクリーンショット 2021-03-31 12.46.06

まずは単色の比率を検証するグラデーションチップを制作した。上からCMYKWの順番で、左から10%~100%までのグラデーションを作り、チップの厚みを0.2mmのものと1mmのものの2種制作し出力した。

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出力結果(余談だが透明マテリアルは出力直後若干黄色みを帯びており、時間が立つと安定してくることがわかった。写真は出力直後に撮影したもの)

検証での学び
KWについてホワイトは前回プロトタイプと同様に白の不透明度の偏りが気になる+黄みがかる結果となった。ブラックは体積が大きいモデル(1mmのモデル)の方が、グラデーションが高い濃度側に振れる結果となった。
また、CMYに関しては圧倒的にイエローの濃度が高い結果となった。次いでマゼンタが若干濃い結果となった。

以上の結果により、CMYの数値が出力物の濃度バランスに対応していないことがわかった。このためGrabCAD PrintにてCMYK指定でカラー設定する場合、実際の出力物の色を合わせるための指標が必要となる

Prototyping

カラー配合率確認の為のカラーチップサンプルを作成した。
チップの厚みを0.2mm, 1.0mm, 2.0mmの3種作成し、シアンを基準に10%, 20%, 30%の3種類のチップにそれぞれマゼンタ、イエローの配合率を任意に調整したものを6種制作し出力した。

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出力結果(撮影日及び背景紙の色が異なるため前項のカラーチップとの写真の印象が違うがオブジェクト全体の色味は写真の通りの印象である)

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① C1:M1:Y1
② C10:M9:Y7
③ C10:M8:Y5
④ C10:M8:Y3
⑤ C5:M4:Y1
⑥ C10:M8:Y1

検証での学び
全体としてチップの厚みによる色彩の大きな変化は見られなかった。また、チップの色味はインクジェット特有のCMYの網点のようなモアレが見受けられた。
①C1:M1:Y1の割合から始まり、任意に決めた割合にて⑥C10:M8:Y1まで6段階でチップを作成したが、⑤までは黄色みを抑えることはできなかった。また、⑤はやや緑味がかったグレー,⑥は紫がかったグレーとなった。このあたりを微調整することでフラットなグレーを作り出すことができそうだ。

GrabCAD Printでは、全体のマテリアル割合を100%になるように各マテリアルの分量を指定するため、比率を担保しながら濃度を上げることは難しい。(3段階の濃度調整をしようとすると⑤と⑥の間を作ることができない。)そのため、濃度を調整するためには体積を上げる(厚みをもたせる)などの工夫をしながら調整してゆく必要があるようだ。

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Tips
上の画像は同じデータを用いて出力したものだが、透明部分のマテリアル設定にそれぞれVero Clear(左)とVero UltraClear(右)を用いたものだ。
Vero Clearは体積が大きくなるとやや紫がかった黒みを持つ。そのため、体積が大きいと透明モデルは新しいマテリアルであるVero UltraClearを設定するとよいだろう。

まとめ

今回はJ8シリーズ3Dプリンターにてグレーを作り出すためにおおよそのあたりをつけることが目的だった。この結果を受けて次回は⑤⑥を基準にもう少し細かくCMYの比率による出力結果を検証してゆこうと思う。

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