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スタッグハンドルの取り付け方いろいろ



Jess Horn tribute Muskrat SP
Type : 2 blade slip joint folder
Blade : RWL34
Bolster/Handle : Stainless steel / stag
Blade length : 78mm
Closed length : 100mm

今回はジェス・ホーンのマスクラットを製作しました。
元ネタは以下の画像です。

これは元々はRemingtonのマスクラットをアレンジしたものだと思われます。オリジナル(Remington)と比較すると、ブレード形状やサーペンティンなハンドルの雰囲気が、マイルドなシェイプにアレンジされていますね。
2枚スプリングのマスクラットはブレードを長くできるので迫力が出ます!
また、ジェス・ホーン製作のマスクラットの一番の特徴は、ハンドル中央部分に切られた大胆な半月状の窪みです。これによりネイルマークがスッキリと確認できます。サーペンティンなシェイプのハンドルデザインを崩すことなく、うまくマッチしています。さすがですね!

… ゼロ年代の頃、アメリカのナイフ業界では「スタッグは表面をできるだけ削らないでくれ!」というオーダーを、カスタマーやナイフディーラーから
たびたびリクエストされました。
これは、私の作っているナイフがトラディショナルスタイルのフォルダー
だからこそのリクエストであり、それが当時のトレンドだったのだと思い
ます…

ボルスタとスタッグの接触面はさすがにある程度削らないとキレイにフィッティングできないので、その部分は許容されましたが、それでもスタッグの50%くらいは黒い部分を残してくれとかのリクエストが多かったですね〜…
つまりボルスタよりスタッグの厚みを部分的に薄くしなければならないということでした。
しかしながら、ちょうど良い具合の扁平&湾曲のスタッグばかりがあるわけもなく、なかなかに苦労しました。

その中でも一番のNGとされていたやり方が…
ボルスタとスタッグの接触部分の、スタッグの方に急角度をつけて削り合わせ、それ以降のスタッグ部分を削らない、つまりボルスタよりスタッグが
一段高くなり明らかに段差があるスタイルは絶対にNG…
理由はよく分からないので、あくまで私自身の想像ですが… トラディショナルスタイルのフォルダー愛好家は、ブレード開閉時のアクション等にもこだわりのある人が多いです。その流れで、おそらくボルスタからハンドルへ続く曲面にも官能的な触感を求めていたのかな?と想像します…
… 多くのカスタマーから、ボルスタとスタッグの接触部分は、あくまでもなだらかに段差無しで作ってくれとのリクエストを念入りにされましたね… ゆめゆめ忘るべがらず的な感じで。

… 上記のようなスタッグの取り付け方、なかなかに面倒でしたが、そこは悲しいかな、駆け出しのナイフメーカーに断れるすべも無く、当時はできるだけそういうリクエストに応えるべく頑張ってましたね〜…
… 現在では、スタッグの取り付け方はナイフメーカーそれぞれですので、
良い悪いは無いと思いますし、自由だと思っています。
しかし、残念ながら一度刷り込まれたやり方はなかなか消えてくれず、結局は今でも当時のような取り付け方をしてしまいますね…

さて、今回はそのスタッグの取り付けが、ゼロ年代当時にされていたリクエスト通りにできました!
長手方向・短手方向ともに湾曲具合がうまくマッチし、厚みの調整もうまくいきました。つまり、ボルスタとスタッグの接触部分以外は、ほとんど削らずにフィッティングできました(ミラクル!

ところで、
先日、たがやさんみを探す旅の途中、とある駅に立ち寄りました。
駅前には立派な銅像がありました。

元首相の田中角栄氏の銅像です。
いろいろな意味で記憶に残る政治家でしたね…

よく見ると、肩に小鳥がとまっているようです。
ちょっとラピュタみ(もしくは、しあわせの王子みかも?)を感じてしまい、ホッコリしました!
… 残念ながら、ここにはたがやさんみはありそうにないです…
… たがやさんみを探す旅はこれからも続きます(つづく

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