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J.K.ローリング女史(『ハリーポッター』の作者)の差別的態度に対して~クリス・コルファー

『ハリーポッター』への思い

これまで、クリスさんは、『ハリーポッター』シリーズの大ファンだと公言し、幼少から大きな影響を受けてきたと、何度も述べてこられました。

▼ 読書にめざめたのも、そのおかげだとおっしゃっています。

クリス:ある意味、僕はまだハリーポッターの完結を悲しんでいて、その空洞を、自分の本を書くことで埋めようとしているのだと思います。
ー クリス・コルファー 2016.7.12 Entertainment Weekly インタビュー

On some level, I think I’m still mourning the end of Harry Potter. It left a void I’ve been trying to fill by writing my own books.
クリス:『ハリーポッター』は、大人になるまでの僕の宗教みたいなものでした。
(中略)
『ハリーポッター』は、僕にとって文学への大いなる入門編であり、自分も作家になろうと思うきっかけでもあったのです。 

ー クリス・コルファー 2019.11.12 対談「インパクト・セオリー」より
https://youtu.be/Cu42Nn38hiI

▼ ハリーのコスプレをするクリスさん。

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トランスジェンダーに対する差別

ところが、作者のJ.K.ローリング女史は、トランスジェンダーに対する差別ともとれる発言を繰り返し、2020年6月には炎上。さらに9月、新作の内容が問題視され、大きな話題となりました。

ここで、「Yahooエンターテイメント」によるクリス・コルファーさんのインタビューをご紹介します。


作品と作者とは別だが、失望

まず、インタビューの冒頭より、

クリス:J.K.ローリングの件では、本当に、本当につらい思いをしました。
あれは、実に残念なことでした。
彼女が我々に教えてくれたのは、そんなことではなかったような気がしますから。

僕は時々、努めて作品と作者とを立て分けて考えるようにして、自分を慰めることがあるんです。
というのも、ものすごく大好きな作品なのに、作者があまり立派な人ではなかったと、後になってわかるものも多いからです。
あの作品(『ハリーポッター』)に対しては、本当に感謝するべきだと思っていますが、作者とは分けて考えるようにしなければなりません。

ここで、『オズの魔法使い』のような過去の名作を例に挙げ、「時代遅れ」な点もたくさんあると指摘。
しかし、

だからといって、その作品を変わらず楽しむことは、何ら間違いではないと思っています。そこから得られる楽しみを、手離すことはありません。
しかし、少なくとも頭の中では、その作品の本質に問題があることを認めていなくてはならない、とも思うのです。

と、作品に対する敬意は払っていくものの、複雑な思いであることを吐露されました。


トランス・コミュニティへの感謝

さらに、ご自身がゲイである立場から、このように述べられました。

つまるところ、僕にできることと言っても、人の言葉を取り消すこともできなければ、謝罪を強いることも、考え方を変えるように強制することもできません。

結局、自分にできることは、トランスジェンダーのコミュニティが、いつでも僕に寄り添っていてくれたことを、皆さんにお伝えするだけです。
彼らは、最初からずっと僕を守ってくれました。
なので、僕は命ある限り、彼らを守っていくつもりですし、つねに彼らの支援者であり、友人なのです。

クリスさんは、性的マイノリティーの自殺防止をすすめている慈善団体「The Trevor Project」を支援されており、そのことだと思われます。

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人権と環境のためなら、死ぬまで闘う

そして、新刊 「 A Tale Of Witchcraft 」(日本語版未発売)は「KKK」(白人至上主義結社)や実在の政治家をモデルにしているとして、トランプ前大統領(インタビュー当時は大統領選のさなか)のことにも言及しました。

我々の(トランプ)大統領と児童書の悪役との間に、あまりにもたくさんの共通点があるのは、言わずもがなであると思います。

人権や気候変動のようなことが政治的な争点になるなんて、全くおかしなことだと思っています。
毎日が、まるで一日おきにしかこないように遅く思えます。
我々が持つべきもう一つの権利は、まな板の上に載っているのに。

▼ 大統領選でバイデン候補(当時)を支持し、投票を呼び掛けるクリスさん。

最後に、力強く締めくくられています。

自分は今まで生きてきて、一度も政治的になろうと考えたことはありませんでした。
しかし、マイノリティーのために立ち上がることが、この惑星のために立ち上がることが、ゲイの人々のために立ち上がることが、僕を政治的にするというのであれば、それはそれでかまいません。
僕は、そのために、死ぬまで闘うつもりですから。

ー クリス・コルファー 2020.10.2 Yahooエンターテイメント インタビューより

「A Tale Of Magic」シリーズ(日本語版未発売)では、LGBTQの方々に対する差別を「魔法が使える者に対する弾圧」という設定で表現されています。
ペンによるクリスさんの闘いが、日本まで届く日が待ち遠しいです。

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▼ 関連記事:クリスさん自身のカミングアウトについて。