見出し画像

その場をはなれる勇気~クリス・コルファー

今回は、いじめや心の不調をがまんしないために、「その場をはなれる」ことについてのお話です。

▼ 前回の記事はこちら。

つらいことに耐(た)えて強くなれ?

トム・ビリュー氏:人間の心は、ストレスによって苦しくはなるが、死ぬほどではなくて、かえって成長することができる。 
「死ぬほどつらいことが人を強くする」という哲学者ニーチェの言葉は、生物学的にも正しいんだ。

クリス:そういう考え方のために、不幸になる人たちもいます。
この「死ぬほどつらいことが、人を強くする」という言葉をメンタル面にも当てはめがちですが、ときには「 死ぬほどつらいことが、人を自殺に追いやる」こともあるので、人によって本当にちがうんです。
「つらいことにつぶされるか、それをバネにがんばるかだ。」
人がこう言っているのを聞くと、ぼくは時々、物を投げつけて言ってやりたくなるんです…「ふざけるな!」と。
(中略)
世の中には、あまりにも悲惨(ひさん)なこともあるので、自分が感じるままに感じていいのだと思います。

ー クリス・コルファー 2019.11.12 対談「インパクト・セオリー」より

このとき、トム・ビリュー氏は、「つらいことで強くなれる」ことについて、とてもていねいに話をされていました。それがけっしてまちがった考えではないのは明らかです。
しかし、「ふざけるな」という言葉を使ってまで、それを否定したクリスさん。
世界中の子どもたちから悩みを相談されるクリスさんは、きっと「あまりにも悲惨なこと」に耐(た)えている子どもたちのことを、思いうかべたにちがいありません。

かつての私も、だれが見てもだいじょうぶではないことを「だいじょうぶ。平気、平気」と自分に言いきかせて、ずっと無理をしてきました。
そのときにうけた心の傷(きず)は、大人になってから、いろいろ困ったこととなって現れました。
つらいことは「つらい」と「自分の感じるままに感じる」のは、実はとても大切なことなのでしょう。


そんな場所にいる必要はない

クリス:おそらく、ぼくを一番救ってくれた教訓、あるいは人生をわたってくるための「橋」となったのは、
「そこにいたくない環境(かんきょう)ならば、どんな場所だろうが、いる必要はない」
と、悟(さと)ったことです。
そして、それが、子どもたちに贈りたいメッセージです。

ー クリス・コルファー 2019.11.12 対談「インパクト・セオリー」より

カリフォルニアの田舎でいじめられて育った、クリスさん。
なんとしてもそこから脱出したいという思いが、成功への強い決意となったのだそうです。

クリスさんのもとには、「 安全な場所に移る勇気をもらえた」(2020.10.10 The  Daily Telegraph.com)という手紙がたくさんくるそうです。
今いるところを離れるには、大人の協力が必要なことも多いと思いますが、勇気を出して相談してみると、意外な道が開けるかもしれません。


▲ 対談「インパクト・セオリー」の動画


▼ そうもいかない場合には