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【ネタバレ】 The Surge のストーリーを全部書く

本作、最近いたく気に入ったディストピアSFソウルライクなんですが、ぐぐっても攻略記事とかレビューがいろいろ出てくるもののいまいちストーリーにぐいっと言及してるのがない感じだったので、気に入りついでに私が読み取った(+多少推測した)内容を書きつけておきます。もちろん今後やる予定の人は読まないほうがいい……かもしれない。だいたい2,500字ほどです。

21世紀半ば、アメリカを含む地球全土が絶望的な大気汚染に見舞われる中、神経インプラント機構を用いた外骨格技術で頭角を現した企業があった。リグと呼ばれるそのcreo社の外骨格製品は全世界に瞬く間に広がり、工業生産から日常生活の中にまでいきわたって、人類にとってなくてはならないものとなった。各界に影響力を持つに至ったcreoのCEO、ジョナ・グッテンバーグはその本業の傍ら、大気汚染問題の解決を目指して「プロジェクト・リゾルブ」を創始する。

プロジェクト・リゾルブは、大気汚染を浄化する作用を持つ「リゾルブ」と呼ばれる新開発のナノマシンを自社のロケットによって高空に打ち上げ散布するもので、20年余り続いた相次ぐこれらロケットの打ち上げごとに大気汚染は浄化されていき、creoの名声もまた高まった。

ところが、リゾルブが人体に悪影響を及ぼす可能性を指摘する者が現れて社会的に批判が高まったことで、creoならびにその幹部たちは少なからず動揺する。リゾルブの生みの親とされ、研究開発部主任を務めていたメリッサ・チャベス博士は、長期間にわたって接触していると発現するリゾルブの毒性に気づき、プロジェクトにストップをかけようとしたが、何らかの理由でチャベス博士は主任のポストにありながらブラックリスト入りする。これが2078年1月14日とされている。

その後研究開発部内でチャベス博士と主導権を争っていたジーン・バレット博士は、リゾルブを改造し大気汚染の除去性能を飛躍的に高めた新たなナノマシン「ユートピア」を開発。汚名挽回に腐心していたcreo上層部が一挙にユートピアに傾倒していく。しかしユートピアについての詳細はバレット博士しか把握しておらず、その致命的な毒性も、そしてその毒性から人類を守る手段についても外部には何も知らされていなかった。後に、ユートピア計画を阻止できなかったことをグッテンバーグが後悔する2081年5月18日付の音声ログがCEO個室から発見されている。

ユートピアは大気汚染の浄化に特化するあまり安全性を完全に無視したプロダクトであり、リゾルブ同様に高空から散布することで大気汚染を100%浄化し尽くすと同時に地上の有機生命体の95%を死亡させると見込まれていた。この中で人類が生き残る方法として開発が進められていたのが「プロテウス」と呼ばれる改造人間である。このプロテウスは、環境の変化に耐えるためか生身の部分が残っているのは頭蓋の上顎より上の部分だけで、それ以外は全身のリグを組み合わせたような状態になっている。こうした特徴からホモ・マキナリスとも呼ばれていたようだ。その後の研究のロードマップがどのようになっていたのかは不明だが、研究開発部内に残されていたログによれば、その時点では「知性は2歳児程度までしか持てない」とされていた。
また、プロテウスとの関係は不明だが、同部内ではプログラムによって物理的な姿を変えるナノテクノロジー材質を利用した「工具」や「暴徒鎮圧用の武装」も研究されていた。この技術が、のちに事態を複雑化させることになる。

そうしたある日(※)、ついにある事故が発生する。
ユートピアをペイロードとするロケットの打ち上げについて、グッテンバーグを含まない8人の役員会において神経伝達投票による多数決が行われていたが、後に「サージ(巨大なうねり)」と呼ばれる現象によってcreo本社地域内に影響する大規模な停電が起き、この役員会の投票が停止、さらに全社的にcreo従業員が使用していた神経インプラントの重大な異常や、本社地区全域に及ぶデータセクタの大規模な破損などが発生。
この結果、従業員に極めて多数の死傷者を出し、生存者の中でもインプラントとデータセクタの破損の影響で他者と意識と記憶が混濁し精神に異常をきたす例が多発して収拾不可能な状態に陥る。
※日付の判明している音声ログからの推定では2082年春以降とみられる。

これは憶測になるが、結局暴走ナノマシンから生まれた人工生命体「ローグプロセス」が、地球環境にとって、もしくは自分自身にとってトータルではプラスであると判断し、ユートピアロケットの打ち上げを確実にするため、creo本社地区全域に及ぶ大規模な停電を人為的に起こし、ユートピアの打ち上げの是非を問う役員会の神経伝達投票に強引に介入したのが「サージ」であったのだという推測が成り立つように思う。この介入の直前までは8票のうち賛成4、反対3で、結局投票できないまま事故の影響で発狂して死亡した最後の一人が反対派であったため、あのタイミングで介入すれば発射が可決されることを見越していたのだ。

下半身不随であった主人公ウォーレンが、不幸にもそのタイミングで入社日を迎えたところから今回のストーリーが始まる。ウォーレンが入社に当たって受けたリグおよび神経インプラントの導入手術では、システムが麻酔による沈静化完了を誤認したまま手術を強行、ウォーレンはそのまま気絶。

ロケット組立ライン区画の隅でウォーレンが意識が回復した頃には約4日が経過、一部区画のシステムの自動再起動や生産ラインの一部の復旧が始まっていた。
ウォーレンは生還を賭けて、神経インプラント故障で自我を失い生きたまま「ゾンビ化」して襲いかかってくる他の従業員たちや警備ドローンなどを退けながら、中央製造エリアB、リゾルブバイオラボ、サーキュレーションタワーを抜け、放棄されたプロテウスや秘密裏に開発されていた上位verが跋扈する研究開発部、エシュロン9と呼ばれる暴徒鎮圧部隊が陣取るエグゼクティブフォーラムを抜けていく。そしてその先にあったのは、暴走するナノマシンが生み出した人型兵士や自走レーザーキャノンが屯する中心部と、ユートピアを載せて発射命令を待つばかりとなったロケットであった。その周囲では、自己プログラミングの彼方で自己複製能力や思考する意思をも獲得し実験室から解放され制御を失ったナノマシンの塊が青黒く蔓延していた。

ウォーレンは、生き残るためさまざまな場所に侵入する中で、チャベス博士本人から入手したアンチユートピアウィルスをユートピアのペイロードに注入することに成功し、そのまま導かれるようにユートピアロケットの傍らにたどり着く。そこで「ローグプロセス」と名乗り、creoのこの4日間で起きたことすべてを知る巨大ナノテクモンスターと対峙するが……異常に気づいた米軍が苦戦する中、中心部から本社地区の玄関口まで落ち延びたウォーレンの姿をこの後見た者はいない。

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