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「24時間本屋さん」の思い出 その1

”果たしてぼくたちは本当に、「24時間本屋さん」のヒーローとしてふさわしいのか、それとも他の誰かにその座を譲り渡してしまうのか、それはこの先のページを読めばわかる。とにかくぼくたちのイベントの物語を、イベントのちょうどはじまりからはじめることにして、ひとまず、ぼくたちがはじめたのは木曜日の朝10時きっかりだった(そうだった気がするし、それを信じることにしている)って書いてみよう。”

ぼくたちは『ライ麦畑でつかまえて』読書会を行った。
人数は8人くらい集まって、その中の3人が24時間ずっと一緒に過ごす仲間だった。
ライオン堂の店長はアメリカが好きで、カフカの『アメリカ』(『失踪者』)も好きで、サリンジャーが好きだった。店長は、『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデンが何を成すことも無く、次々に場所を移動していく様子が『アメリカ』の主人公にも共通していることを指摘した。ぼくはカフカの作品のなかで『アメリカ』が一番好きなので、その話題が出てテンションが上がった。しかし、これからの24時間の事を考えて饒舌になりそうな自分を諫めた。

みんなでホールデンの話をした。多くの人が、10代の後半に『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいて、ホールデンの精神に同調した話をした。彼の身に降りかかる暴力や暴言、それに比べるとぼくたちは過激な青年時代を送った経験が無いのだけれど、とにかく青春はホールデンだった。
ぼくは「いつかタクシーに乗った時に、あの“セントラル・パークにいる鴨が、池が凍った後にどこに行ってしまうのか気にする”会話をすることに憧れている」という話をした。いつか、寒いところへ旅行したときにでもタクシーを捕まえて言いたいと思う。
そうやって、11時半まで話をした。

朝の読書会が終わったあとは、昼食を買いに近所の弁当屋まで出かけた。ぼくはカツ丼とお茶と、喉に良いというドロップを買った。

「24時間本屋さん」は、まだまだ続く。

その2はこちら
https://note.mu/curryyylife/n/n62164b55d2c6

※この記事は2019年5月2日~3日に、双子のライオン堂書店で行われたイベント「24時間本屋さん」の感想文です。感想ですので、事実と異なるフィクションが含まれています。
https://peatix.com/event/635701/view


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