囲碁史記 第74回 方円社を支えた中川亀三郎と小林鉄次郎
明治十二年、維新という時代の風にのって設立された「方円社」、そのトップである村瀬秀甫以外の主要な人物を紹介していく。
初代 中川亀三郎 東京を離れていた秀甫とつながりを持ち、実質的に方円社設立を主導したのが中川亀三郎である。
亀三郎は十二世本因坊丈和の三男で、天保八年(一八三七)に生まれる。長兄の井上節山因碩は丈和の先妻・達子の子で、後妻・勢子の間には亀三郎のほか、次兄の松次郎(二世葛野忠左衛門)、長女で秀策の妻ハナ、亀三郎の下には四男と次女がいた。
幼名を長三郎とい