てんかんの妻について(検査編①)

4月某日。僕は再び年休を取って大阪から広島の家へ帰り、妻と一緒に広島の各病院で3日間の検査を受けに行った。

1日目は脳磁図とMRI。
午前中は脳磁図で広島大学病院。
午後からはMRIで広島中央診察所だ。
僕は車の運転が出来ない妻を病院まで連れて行って、あとはひたすら車内で待つだけだったので、妻の検査が終わってからその内容を聞いた。

脳磁図は頭にベトベトしたジェルの様な物と塗られて、そこへ電極?が付いたコードを沢山付けられた様だった。
更にヘルメットが備え付けられたベッドに横たわり、そのヘルメットへ頭を突っ込んで検査をしたらしい。
検査自体は痛みや怠さは無かったみたいだったけど、検査後にベトベトしたジェルをシャンプーで洗い流した後に、ヘアカラーが落ちた事に妻は苛立って戻って来た。3時間にも及ぶ検査だったけど、とりあえず元気そうに戻ってきたので良かった。

MRIは何回か撮った事があったので特に心配な様子は無かった。
こちらも2時間程度の検査だった。
MRIはガンガン?ゴンゴン?良くわからないけど、とにかくうるさいみたいで途中、看護師さんに耳栓をしてもらったみたいだったけど、この耳栓がキツかったらしく、終わった後に耳がメチャクチャ痛かった様で、又してもご機嫌斜めで戻って来た。
こうして1日目の検査は妻の機嫌を損ねつつも無事に終える事が出来た。

翌日、2日目は朝から終日、広島大学病院で神経心理学的検査と脳波検査だ。
家を出発する際、妻は車に乗り込むなり『ちょっと待って!』と思い出したように僕が車のシフトをドライブに入れるのを阻止し、急いで家へと何かを取りに戻った。
取りに戻ったのはシャンプーだった。
どうやら昨日の脳磁図の検査後のシャンプーが気に入らなかったらしい。

病院について、昨日と同じように僕は車内で妻の検査を待つ。
午前中は神経心理学的検査と言う聞いたこともない検査を受ける様だ。
先月、検査の日程を決める時に少し説明を聞いた感じだと、知能や記憶力の検査になるらしい。
妻から午前中の検査終わったよとLINEが入り、病院内の食堂でお昼を取った。
午前中の検査の内容は歴史上の人物や国の首都などの一般常識を答えたり、暗算や先生が言ったいくつかの数字を小さい順に言い換えたり、渡された絵と同じようにブロックを積み上げるものだった様だ。
妻は酷く落ち込んでいた。
子供たちに勉強を厳しく教えているのに、今回の一般常識では納得いく回答が出来なかったからだ。
『あぁ~ちゃんと勉強してくればよかった!』と嘆いていたけど、
『いや、学生の頃の試験とは違うけぇ、勉強するっていうのはちょっと違うような・・・』と思いつつ、笑いながら食事を済ませた。

午後からは引き続き神経心理学的検査で、記憶力の検査を行う様だ。
午前中の検査と似たような所もあるけど、初めにいくつかの数字を教えられて、その後しばらく別の検査をした後に初めに教えられた数字を思い出して答える検査や、先生が話す簡単な物語を聞いた後に同じ話を自分が話すと言うものがあった様だ。

当初は神経心理学的検査の後、1時間、間が空いてから脳波検査だったけどキャンセルが出たらしく、時間を空けずに脳波検査へ行くことができた。
この検査も頭へ電極を付けるけど、昨日の脳磁図とは少し違ってネットを頭に被って、そこに電極を付けるので、そこまで頭は汚れなかったみたい。
2日連続だったので、少々疲れ気味の妻だったけど、2日目の検査も無事に終える事が出来た。

1日空けて日曜日、3日目の検査。
今日は広島平和クリニックでPET-CTと言う検査だ。
この検査は他のモノと違って、どんな検査かと言うパンフレットを事前に貰っていたので、昨晩目を通してみた。

CT検査やMRI検査は身体の形を見る検査だけど、PET-CT検査はFDGと言う薬剤を注射し、このFDGが身体のどこに集まっているか身体の機能を見る検査の様だ。
FDGはブドウ糖に似た成分で、がん細胞は通常の細胞より3~8倍もブドウ糖を栄養源として成長する事から、この性質を利用してがん細胞の位置や性質を知る事が出来るみたい。
妻が
『ちょっと怖いね。がん細胞あったら・・・』
と言っていたけど
『まぁ、せっかくの機会じゃしイイか』
とすぐに気持ちを切り替えて言った。

僕は会社で健康診断があり、体の異常が無いか定期的に知る事が出来るけど、妻は専業主婦で、そう言った検査は自主的に行かない限り自分の身体の状態を知る機会が無い訳で、こういったある時に受けた検査で急に異常が見つかるかもしれないと思うと、やはり怖いのかもしれない。
そう思うと、当たり前に受けている健康診断も、早期に身体の異常を知れる仕組みが出来ているので、ありがたい事だなと思った。

検査の時間は3時間程度だった。
病院から出てきた妻は目をキラキラさせていた。
話を聞くと、この病院が凄く綺麗で置かれている物も豪華で、働いている人達も上品な人たちばかりだったらしい。
どんな検査だったか聞くと、最初に薬剤を注射して、その薬剤が全身に行きわたるまで1時間程度安静にして、その後CTを撮ったみたいで、検査自体は特に変わった印象は無かった様だった。
『そんな事より病院が綺麗で・・・』と妻の嬉しそうな話が止まらなかった。よっぽど気に入ったに違いない。

詰め込んだ検査もひとまずこれで終わり、あとは5月のGW明けに再び広島大学病院にて担当の先生から検査の結果を聞くだけだ。
そして、それからモニタリング検査の日程調整もする事になるんだろう。
出来ればお盆休みに検査を受けられる事が出来れば良いんだけど・・・
会社にも事情は説明して、『そういう事なら遠慮なく休め』と言ってくれた上司はとても心強い。

早く広島に帰りたいなぁ・・・
とりあえず一旦、大阪へ。


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