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エル・アルコン EL HALCON-鷹-

マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作原作の「沈黙」を映画化した「サイレンス」。3年半ぐらい前ですか、動画配信で見ました。長い作品だったので2回に分けて見たと記憶しています、確か。

17世紀初頭の日本を舞台に描かれた映画を見ながら、ストーリーとは全く関係無い事に想いをめぐらせていました。
主人公の宣教師が長崎に到着した頃、スペイン大航海時代はとっくに終焉を迎えていて、イギリスに海洋覇権を奪われてたんだよなとか、後半オランダ人の商人が登場した時には、この時代にはオランダはスペインから独立してたんだなとか。
そして、16世紀末イギリスとスペインが戦ったアルマダの海戦で命を燃やした青年のことを想い出したのであります。

彼の名はティリアン・パーシモン、イギリスの海軍士官でした。
漫画家青池保子先生が産み出したダークヒーローです。今風の呼び方だと。
あの「エロイカより愛をこめて」のスタートと近い時期(1970年代後半ですな)に発表された、エル・アルコンシリーズの主人公。それ以前に「七つの海 七つの空」で存在感のある悪役として登場していました。
実はスペインとも通じていて、自らの野望のためには平気で人をも陥れるマキャベリスト、だが人望があり部下や手下に慕われていて、女にもモテる。
彼に抱かれた女は、ティリアンにメロメロになっちゃうけど、不幸になってしまう。

まだ子供だったあっしもティリアンに夢中になったワケです。
元々同年代のアイドルには興味など無い、20代のカッコイイ俳優さんが好きなガキでしたから。
男の色気なんて言葉自体知らなかったと想うけれど、そういうモノを彼から感じてた、多分。

あれから40年以上、彼の事などすっかり忘れて過ごしていました。
ティリアンのようなオトコに抱かれることも無く(そんなヤツいねえし)、閉経を迎え、すっかりオバチャン。
そういや20代後半から青池先生の漫画を読んでなかった。てか漫画を読む量が減った。全然読まない時期もあった。
その後、青池先生の今まで読んでいなかった作品をちょこちょこ読むようになりました。「修道士ファルコ」や「ケルン市警オド」や短編とかね。
「アルカサル -王城-」は外伝しか読んでないな、死ぬまでに読まないとヤバイですね。

「エロイカに愛をこめて」は、ソビエト崩壊以降読んでなかったよと想い出し、唖然としたというか何というかその、ある重大な事に気づいたんでした。

平成の間、青池保子先生の作品を全く読んでいなかった。
世間の皆さまからすると、そんな大層な事では無いだろ、それどころかもっと重要な出来事があっただろ、アホかと莫迦かと嘲られるでしょう。しかしながら、個人的には重要な事実なのでした。

平成だって結構長かった。まあ色々あったっちゃあったけど。
ワタクシにとって平成とは、青池保子先生の漫画を読めなかった日々だったのでした。マジでそう想っています。
続く。






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