見出し画像

「Believe-君にかける橋-」感想。

▶︎「Believe-君にかける橋-」感想。(雑学編)033

舞台公演が終わったので、録画していたドラマを何作か一気見しました。中でも「Believe」は特に見応えがありました。まず脚本が良い。リアルな設定。こちらの想像を上手に越えて来る展開。地味だけど丁寧な演出。そして何より木村拓哉氏の演技が素晴らしい。彼の場合、目の前で起きていることが作り話ではなく現実(リアル)だと錯覚出来る能力が群を抜いている。だから彼がサバイバルしていく様が見ているこちらも共に現実(リアル)だと錯覚させられるのです。そして彼のリアルは確実に他の俳優たちを巻き込んでドラマ全体のエネルギーが増していく。特に小日向文世氏とのバトルは素晴らしい。

「Believe」と比較すると「アンチヒーロー」など脚本は素晴らしいのに、ドラマ全体の出来としてはどうしても作り物感が気になって集中出来ません。他のドラマもリアルを目指している俳優とエンターテイメントを目指している俳優が混在していてとても見づらい。そういう意味で「Believe」のクオリティは頭ひとつ抜けていると感じました。

ただ、ひとつ不満があるとすれば主人公の妻を天海祐希氏が演じたことです。彼女自身はとても素晴らしい演者ですが、この人が光るのは現実を突き抜けた時代劇のような物語だと思うのです。現実(リアル)な物語に似合う人ではありません。彼女の演技は「送信」がメイン。対して木村拓哉氏の演技は「受信」メイン。2人の演技の歯車がキチンと噛み合っていないのです。もし2人の歯車がガッチリ噛み合っていれば夫婦関係の場面でもっと心が動かされたのではないかと思います。

「Believe」について最終回で詰め込みすぎだとか、いつものキムタク節だとか批判しているネット記事などが散見されますが、映画やドラマや演技のことにキチン向き合っていない素人ジャーナリストは黙っていろと言いたい。演技にはリアルとエンターテイメントの2種類があり、それは同じ酒でもワインとビールくらいの違いがある。ワイン俳優どビール俳優が混ざった酒はよくわからないボヤけた味になってしまう。だからリアルな物語にはリアルな演技を駆使出来る俳優、エンターテイメントな物語には表現力豊かな俳優だけをキャスティングして旨い物語を紡いで貰いたいと思うのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?