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日本のマヨネーズ、最高!

ロンドン北部にColindale(コリンデール)という名前の街がある。
ワム!のジョージ・マイケルが生まれた街らしい。
私が住んでいた1990年代終わりから雰囲気が変わっていなければ、あまり近寄りたくない部類の街である。
そのColindaleに「ヤオハン」があった。
ちょっとしたモールになっていて、日本の食材がかなり豊富に揃っているヤオハンスーパーを目玉に、日本やアジアの食が楽しめるフードコート、レストラン、紀伊国屋書店、和菓子店があり、我々夫婦も月に一度ぐらい買い物に出向いていた。
薄切りのお肉や魚を買いに。

イギリスでは日本の食材の価格はおおむね3倍だった。
野菜やフルーツ、肉類、ヨーグルト、ミルクなどは地元のスーパーで買う方が新鮮なので、これらをわざわざヤオハンで購入する必要はなかった。醤油や味噌、調理酒、乾麺は中華系スーパーで手に入り、価格は日本と比較して2倍弱だったと思う。お米もカリフォルニア米で問題なかった
私が絶対に譲れないのがマヨネーズだった。

日本製のマヨネーズは、酸味とコク、舌触りが絶妙だ。
イギリスにもマヨネーズはもちろん売られているが、酸味が足りないし、なんだかブヨブヨした舌触りで好きになれなかった。
酢やサラダオイル、卵を使って手作りするのは、生卵のサルモネラ菌が怖くて出来なかった。


一度、友人の家でご馳走になったサンドウィッチがとても美味しくて、マヨネーズはどこのものを使っているのか尋ねたら、紅茶で有名な『フォートナム&メイソン』で買ったと言われ、私も買いに走った。
フォートナム&メイソン社のマヨネーズはコロンとした形のビンに入っている。
味も酸味がはっきりしている私の好みだった。
値段は忘れてしまったけれど、おそらく日本から空輸されている日本製マヨネーズと遜色なかったと思う。
安くはない。

海外に住んでいて、日本製の食品が高いのは理解できる。
ほとんどが空輸だし、現地で売る側の利益も上乗せされているだろう。
しかし、日本で全く同じ商品の値段を知っていると、同じものに3倍のお金を払うことが腹立たしかった。

私は日本製マヨネーズとフォートナム&メイソン社製マヨネーズを常にストックし、サラダなどに使うときは必要最小限のマヨネーズに、酢とオリーブオイル、ヨーグルトを足した。
最初は酢だけ足してのばしていたのだが、これだと水分過多でサラダがパシャパシャしてしまう。特にポテトサラダには向かない。
そこで酢を減らしてオリーブオイルを足したが、やはり水分量が気になる。
いろいろ考えた末に、ギリシャヨーグルトを加えてみたところ、水分問題が解決した。

ギリシャヨーグルトは今でこそ、日本でも知名度があるけれど、当時の私にとっては全く未知のヨーグルトだった。
初めて食べたのは、ギリシャのケファロニアという島のブレックファーストで。
この島についてはまた機会を改めることにして、私たちは4年間のロンドン生活のうちで3回の夏休みを地中海のケファロニア島で過ごした。
滞在していたホテルの朝ごはんで初めてギリシャヨーグルトを食べ、その酸味が少なく濃厚な味が大好きになった。
それ以来、イギリスのスーパーでギリシャヨーグルトを欠かさず買うようになった。
先述のように水分量がほぼゼロのヨーグルトなので、マヨネーズに混ぜても水っぽくならない。
海外生活で私が独自に編み出した、マヨネーズ節約術である。

この時染み付いたクセは、もはや国内通常価格でマヨネーズを買えるようになった今でも抜けていない。

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