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情緒的な時間差
「如何に誰にも分からないように一人の相手に伝えるか」
そんなことに全力を注いでいたときは
物を書く作業がただの作業ではなくて、暗号を作り解き明かすような楽しみだった。
いつの間にかそんなこともしなくなって、物を書くことが面白くなくなり
辞めたい訳ではないが少しも楽しくない。
書かれた文章を読むのも詰まらなくなって、本もあまり読まなくなった。
見たまま感じたままなんて興味もないし、そんなものを読ませたくない。
いつも真剣勝負で全力で、それが酷く苦痛だった時もある。
ふと一瞬、何か伝わったかもしれないと感じることがある。
それは相手にだったり自分にだったりお互いにだったり、
考え得るだけでも色んなパターンがある。
もしかしたら思っている相手と違う誰かに何かが伝わっているかもしれないけど
それはそれで面白いことだ。
楽しいとか嬉しいとか思えるなら、きっと悪いことじゃない。
こんなことを書くと「いつまで過去に生きているんだ」って怒るかもしれない。
決してそんなことはない。
いつだって今しかない。
わたしたちには過去も未来も、そんなものはもうどこにもない。
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