この曲のココが気持ちいいぞ!    ~「ハルカ」 / YOASOBI

「ハルカ」(2020年)/ YOASOBI
作詞・作曲:Ayase

2019年「夜に駆ける」で鮮烈なデビューを果たして以降、街のどこを歩いていても曲が聴こえてくる状態になり、瞬く間に日本のミュージックシーンを代表するユニットとなったYOASOBI。
 
Ayaseの一連の曲は、自身の世界観がちゃんと確立されていて、コードも知ってるしアレンジも多彩。
そもそもボカロPということで、楽器の打ち込みからミックス、マスタリングまでカチッとやるので、出版側としてはさぞかし手がかからないんでしょうね。知らんけど。。

一方のikuraの方は、熱唱型でもなく、かと言ってアニソン声に振り切っているわけでもない、なんとも独特なトーンのヴォーカリスト。
この二人が放つアウトプットの相性が抜群にいいんでしょうね。
なかなかに無敵のユニットです。
 
今回はそんなYOASOBIの6枚目のシングル「ハルカ」を採り上げたいと思います。
なんでまた「ハルカ」?
それは単に私がYOASOBIの中で一番好きな曲だからです・・。
サビのメロディきれいよね。
 
まず「お?」って思うのはイントロどアタマ。
Dキーでシンセ単のリフが始まって、2小節ですぐにカクンとCキーに落ちて始まります。
YOASOBIだけに遊び心が・・。
 
で、サビまで行っちゃいます。
すぐ手前の「♪~そんな日々よ」でA7(Ⅵ7)にしたあと、「♪~ふりかえれば数え切れない」から1つ上げてD♭キーに転調します。

音楽理論的には手前のA7が転調のジャンプ台になるわけではないので、おそらくはあんまり脈略のない転調と思われます。
逆に言うと、あまり類を見ない。Dキーに行くならまだ解るけど。
そのままCキーでサビに入ってみたけどなんか面白くなかったから1こ上げてみた、くらいのことなのかなぁと勝手に推測します。
 
でね、一番気持ちがいいところはですね、2コーラス目「♪~どうか泣かないで あの日のように笑顔で」の「で」でまた1つ上がってDキーに転調するところ。ここは先ほど書いたのとは違って、非常になめらかで気持ちのいい転調ですね。

そのあとも同じメロディで「♪~ふりかえれば」とリフレインするものだから、「もっぺん上がるんか?上げんのんか??」と思わせておいてDキーでステイです笑。

「♪~流した涙も」の「も」でちゃんとAを挟んで歌いやすくしてます。
さすがにikuraさん、F#5まで出てましたんでこれ以上上げられるのもね。
 
結果、曲はDキーの状態で終わるわけですが、そう考えると、冒頭のリフがDで始まったのは「最後Dで終わるからね」っていう伏線?
それはさすがに考え過ぎか。
 
昭和の歌に慣れ親しんだ私としてはikuraさんの声がどうしても無機質に聴こえるのですが、曲のメッセージはまぁまぁ熱い。
熱いメッセージを暑苦しく歌われるのはイヤなので、そういう意味でも「ハルカ」は好きな1曲です。
 
まだまだ若いし、YOASOBIにはヒットチャートをかき回すだけではなく、音楽シーン全体をこねくり回していただきたいところです。

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