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◆虎に翼22話、直ちに言えない苦しさ

記録は重要だ。
今回ははるさんの「主婦之手帖」が大活躍。
日々したためられてきたはるさんの記録を、寅子が調書の内容と突き合わせて情報を整理する。

ここで検察側のでっちあげた物語が明らかになっていく。
前回、検察側は直言に求めた。

「きみの証言で、全員を釈放できるんだ」

そして今回、直言のとびきり上司の高井が彼に求める。

検察の言うとおりにして、罪を認めよう。
名だたる方々が捕まっている。
下々の自分たちが引きうけよう。

そうやって尻尾を切られる形で、もっとも割りを食うのはだれだろう?
口裏を合わせて検察の求めるとおりにすることで、直言はどれほどのものを押しつけられるのだろう?

別の作品になるが「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」では戦争の先導者や現場の上官、村を取りしきる女性などが富めるため、利益のため、その場の感情のために、多くの人を利用した。人を人とも思わずにものとして扱い、暴力を振るい、奪いつづけた。

ちょうだい。よこせ。
自分のものにしてもいいだろう?
おまえがどうなろうと、知ったことじゃあない。
もらうよ。いただくよ。
だから従えよ。なにも余計なことはするなよ?

そう当たり前に求めるのだ。

弱い者は踏みにじられる。遠慮をすると、なんでも奪われる。
そうして失うことになっていく。
なんの意味もない闘争、なんの意味もない競争に追いやられて。
意味なく死んでいくはめになる。
そういう戦場に、競争に追いやられて奪われながら、殺されていく。
安全圏から積極的に加害をしたい者が、大勢いる。

ゲゲゲの謎では水木が体験する。
虎に翼では、直言が。いや。はるさんも、寅子たちも。
それぞれに体験している。


家庭のなかで直ちに言えないで、合わせるほかにない。
そういう人も大勢いるだろう。
そういうこども時代を過ごして、自分の思いを言うことを知らず、覚えられず、学べずに育った人も大勢いるだろう。

そのうえで、奪いたいもの、利用したいものが支配するべく干渉してくるのだ。
よこせ。言うとおりにしろ。奪ってもいいだろう? いや。もともとそれはきみのものじゃないよね? と。
迷惑をかけているだろう? よさないか、と。

直言も直ちには言えなかった。
そんな彼がやっと言えるようになれた。
実に多くの人たちの協力のもとに。

自己責任では叶わない。
ひとりでは言うことが叶わない。
そんなことが多い世の中で、彼が「自分はなにもやっていない」と言えたことにとてもほっとした。

ひとりでは言えないんだ。
どんなに大事な人たちに囲まれていても、言えないんだ。
だからこそ、言えて本当によかった。


穂高先生は報告しにきた寅子を、今回の事件の弁護士たちに会わせて弁護方針を伝える。
ボクの先入観どおり直言がトカゲの尻尾なら、彼ら弁護士それぞれがどういう方針で弁護をするのかに、強く影響しそうだ。
たんに足並みをそろえることができるのなら、ましだ。
そうでないのなら?
穂高先生は寅子たちに調書の写しを依頼して、弁護士たちと接触したり方々に手を回したりしていそうだし、もっといえば弁護士たちを前に牽制さえしていそうだ。協力を得るにしても、必要な手順なのだろう。

さて、どうなるか。

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