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#105 cultbooks collections - ceramic rabbit figurine

なんでもない陶器でできたウサギの置物です。アンティークと呼ぶにはまだ若い1995年製の刻印があります。

そもそもこれはサンフランシスコの古着屋さんのレジに飾ってありました。

会計の時この置物がとても魅力的に見えて、明らかに売り物ではなかったのですが試しにいくらか聞いてみました。

"200"、メガネをかけた若いお姉さんが悪戯っぼく笑いました。

"エッ?!"っと声を出して驚いたあと"10"と面白くなってカウンターオファー。

"100"、彼女の方もあくまで楽しくオファーを返してきます。

"20"、正直そんな額でこれを持って帰っても絶対に買ってくれる人はいませんが、それ以上に僕と店員さんはその場でなんのやりとりをしているのかお互いに理解していました。

"Deal!"

僕には200と言われた時点で止めておく選択肢もありましたし、店員さんにも"not for sale"と相手にしない選択肢もありましたが、お互いにもっと創造的な会話を選択することでその瞬間何かが成立しました。

よく古物商入門のような本には、「もし金持ちになりたいなら古物商はやめておけ」などと書いてあります。

やったことのある人ならこの意味はよくわかるはずですが、それでもどうしても海外に買い付けに行ってしまう僕のような人間もいます。

そしてそういう人間の帰りのスーツケースの中には古いものを愛する海外の人達とのやりとりが詰まっているのです。

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