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キャリア・アンカーを見出す先に

 先日、総合型選抜(AO入試)の対策授業をやりながら、個人的にふと発見したことがあったので、共有したい気持ちになって書いてます。
※くららは総合型選抜の対策をする事業(総合型選抜専門塾 ココラボ)も展開しております。

  • キャリア・アンカーが見出せるとどんないいことがあるのか?

  • キャリア・アンカーが見出せるってどういうことなのか?

 このあたりを整理してみたいなと。実際に中高生に対してキャリア・アンカーを見出すサポートをやりながら感じるところをつらつらと書きます。

キャリア・アンカーってなに?

Grow & Leapでは、中高生向けのキャリア教育プログラムを展開してるのですが、プログラムの特徴はキャリア・アンカーを見出す点にあります。

キャリア・アンカーとは、アメリカ合衆国の組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念。
ある人物が自らのキャリアを選択する際に、最も大切な(どうしても犠牲にしたくない)価値観や欲求のこと、また、周囲が変化しても自己の内面で不動なもののことをいう。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キャリアアンカー

キャリア・アンカーを見出すとどんないいことが?

 人は誰でもキャリアアンカーというものがあると言われますが、これを自覚しているかいないかには、個人差があるようです。私が中高生に支援しているのは、自覚できるようなサポートを、対話や実践の機会の中で促しています。自覚できた方が、いいことが多いと思うからです。

自分の人生を生きられる

 中高生は、まだ自分の価値観を完全に築き上げる前ですから、気づいたら求められている通りに行動していたりします。本音を言うと、Aだと思っているが、でも親や先生言っているBについてもわからなくはない。だからBを選択しよう。と言うふうになることがあります。

 しかし、これが積もり重なると辛くなり、どこかで限界が来ることも。ここで、キャリアアンカーを自覚できればAをしっかりと表明することができるようになります。これは、Aを押し通すと言う意味ではなく、Bと融合して、別解Cを導き出すことに繋がります。すると、自分のもとの思いであったAも活きた形で物事が進むと言うことです。

 Bだけに従っていると、いつしか自分がわからなくなります。Aが表明できることで、自分の価値観が物事に反映されるようになり、自分の願っている世界観を相手と一緒に築いていくことが可能になります。よって、自分の人生を生きられます。

選択しやすくなる・迷いにくくなる

 これは受験を例に挙げるとわかりやすいのですが、大多数の高校生は自分のキャリアアンカーを自覚していないので、「とりあえず経済学部」「とりあえず法学部」といった感じで進路を選ぶ場合が多いです。それで、もし志望大学に合格できなかった場合、学部学科が変わるのも、割と当たり前?平気?な感覚だと思います。そのため、理系か?文系か?だけ選択肢したら、あとは自分の学力でいける大学?みたいな感覚の高校生は割といます。

 しかし、総合型選抜を受験する高校生たちは「とりあえず〇〇学部」と言うふうに進路選択をしません。(というか、そういう受験の仕方を総合型選抜でした場合、ほとんど合格できません。)では、どうやって大学や学部を選択していくのかと言えば、キャリアアンカーをまず自覚するところから始まります。キャリアアンカーが自覚できれば、「何がやりたいのか?」「何が好きなのか?」「どういうことにワクワクするのか?」などに従って、自分が選択することになります。

 そして、何を真っ先に選ぼうとするかというと「研究室」や「教授」です。〇〇教授に師事して〇〇を研究したい。だからこの大学のこの学部に入学したい。という主張をすることになります。(大学から選ぶと言うよりは、研究できる内容から入ってます。)

 何が言いたいかというと、進路に迷うと言うのは自分のキャリアアンカーが見えないからであり、見えたら、自分が選ぶ主体になることができます。


キャリアアンカーが見出せるってどういうことか?

 最近まで私って起業家を育成したいってことなのかな〜?(そういうつもりはないんだが、やってることがそうなってる気がする)って思ってました。
 と、言いますのは、、、今まで総合型選抜(AO入試)で合格する子を見ていると、将来起業してこういう価値を生み出したい!とか、こんな課題を解決したい!と教授に主張して研究テーマへの愛を語るケースが多かった。というのもありますし、キャリアアンカーを見出そうとするプロセスに、アントレプレナーシップが不可欠と感じたからです。

が、脳内を整理したところ、キャリアアンカーを見出せるってどういう状態になることかというと、以下の2つのパターンがあると現時点での仮説があります。(もうしばらくしたら、また別の考えが生まれるかも。)

パターン1: こんな世界・社会を実現したいというビジョンがある。

 こちらは、起業する場合も多いと思うし、何か特定の分野で専門性を発揮しながら、社会をアップデートしていく意欲があるパターンです。
 社会にこれという解決したい課題がある場合もこちらだと思います。あとはこれがマジで好き!というようなマニアックな領域があるなどして特定の領域を突き詰めたいというのがパターン1かなと。こちらの場合、課題が明確で分野がある程度特定されやすい気がしています。

(余談ですが、慶應義塾大学SFCをAO入試で受験する際に、"実践知"をアドミッションポリシーにかがける「総合政策学部」を選択する場合は割とこっちな気がする…。)

パターン2: こんな人間として生きたいというビジョンがある。

 こちらのは、自分が先に立って事業を起こすかどうかというよりは(その可能性がゼロではないが)、自分のこれという才能や好きなことを追究していきたいとか、自分のこの能力を発揮して社会の役に立ちたいとか、そういった「理想の自分像」によりフォーカスが当たっているパターンです。

(またも余談ですが、慶應義塾大学SFCをAO入試で受験する際に、"創造性"をアドミッションポリシーにかがける「環境情報学部」を選択する場合は割とこっちな気がする…。)

必ずしも起業家に必要なものってわけではない。

 まずアントレプレナーシップは誰しもが必要だと思うし、それは起業家に関わらず、教育課程で身につけていく精神だと思っています。(ここは今日の本題ではないので割愛。)
 そして、キャリアアンカーを見出すことも、起業家だけがするべきものってわけではなく。やはり、「やりたいことがわからない」「やりたいことがあっても何からはじめていいのかわからない」と悩む、全ての10代に届けたいと思っています。

(またまた余談ですが、キャリアアンカーに共鳴してくださるのは、たいてい起業家・経営者の方でございます。笑)


パターン1とパターン2両方に当てはまる場合もあると思うのですが、、、、。
パターン2でいうなら、これは結構全人類にあてはまるのでは、と思った話です。「こういう社会にしたい」とか、崇高なビジョンを掲げられるなら素敵ですが、必ずしもそればかりではないと思うのです。「こういう人間として生きたい」というものが、10代のときに描けることはとてつもない。

そういう10代がふえたら、世界は変わる!

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