デリケート･ストーリー

以前、部下にアキヤマ（仮）さんという定年間近の女性がいた。
彼女はよく休む人で、有給が少なくなってくる下期になると微妙な技を使いだす。

生理休暇を申請するのだ。

それまでそんな休暇制度があったことを知らなかったが、そういうものなんだと思い受理していた。

ある日、人事から連絡があった。
生理休暇の日にアキヤマさんをディズニーランドで見た人がいるというので、本人に確かめてほしいとのことだった。

しぶしぶ彼女に聞いてみたが、ディズニーランドなんて行ってない。誰がそんな事言ってるんだと怒った。

この際、普段自分が感じていることを言ってみた。

僕「そもそも生理休暇を事前に申請するって、おかしくないでしょうか」

アキヤマ「私は規則的なのであらかじめ申請できるんです。ちょっと、これってセクハラじゃないの？」

僕「そう受け取られるのは心外です。私だってこんな事聞きたくはありません。休暇の性質上、やむなく聞いたんです。万が一、不正取得があったら私まで責任が及ぶのはわかるでしょう。本当にディズニーランドには行ってないんですね」

アキヤマ「本当に行ってないです。もういいですか？」

では、これはあなたじゃないんですね？

僕はミッキーのカチューシャをつけたアキヤマさんの後ろ姿が写った画像を見せた。背景はビッグサンダーマウンテン！

アキヤマさんを見かけた人が撮った画像だ ！ﾄﾞﾔ

アキヤマ「これは私じゃないです。もういい加減にしてください。組合に相談しますよ」


◆◆ 以下、僕の心のひとり言 ◆◆

俺はなんでこんなやりとりをしてるんだ。目の前のこのアキヤマは、嘘の生理休暇を取り、あろうことかディズニーランドで遊んでいた。
おそらく他の生理休暇の日もエンジョイしてるんだろう。
ふざけまくってる。
しかも、俺をセクハラ呼ばわりしやがった。
そもそもお前、生理休暇って（自主規制）！
しかも、ニヤニヤしていやがる。
きゅうり、お前それでいいのか？
舐められっぱなしでいいのか？
真面目に働いている同僚のモチベが下がるだろ！

だが、しかし、デリケートすぎる話題だ。
しかも、これを実証するのは極めて難しい。

どうする？？
よーーし！

◆◆ 心のひとり言終わり ◆◆

僕「おっしゃっていることはわかりました」

アキヤマ「じゃあ、もういいですか」

僕「はい」

了