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感想:ネバームーア-モリガン・クロウの挑戦-(ジェシカ・タウンゼント)

モリガン・クロウは、〈闇宵時〉に生まれた〝呪われた子ども″。
この世のありとあらゆる不幸はモリガンのせいにされて来た。
次の〈闇宵時〉には死んでしまう運命にあった11歳のモリガンの元へ、魔法都市〈ネバームーア〉から、奇妙な人物が迎えにやって来る。

呪われた子どもに、魔法の国から招待状がやって来る。
それハリー・ポッターやないかい。
その子どもは女の子やねん。
ほなハリー・ポッターちゃうかな。
そんでその子は闇の帝王みたいなのに狙われてんねん。
それ絶対ハリー・ポッターやないかい。

と、全世界のツッコミをひっさげてのファンタジー・シリーズ第一巻。

呪われた子どもは12歳まで生きられない。
次の〈闇宵時〉が来たら死んでしまう。
誰もモリガンとは目を合わせない。誰もモリガンと口をきかない。
実の親でさえ、モリガンが生きているうちは厄介者、死んだあかつきには「大切な娘を失った可哀想な市長」として選挙活動に利用しようと企んでいる有様。

全てを諦めざるをえなかったモリガンだが、しかし、心の奥底ではずっと熾火の様な希望を持っていた。
本作序盤は誰もが、科学技術と奇跡〈ワンダー〉が混在する不思議な世界観に戸惑いながらも、モリガンの中にある生への渇望に、そうだよねモリガン、がんばれモリガン、と引きこまれていくことだろう。

なのに。
彼女を迎えに来た男、ジュピター・ノーズ。
語らねえ語らねえ。
大事な事は何ひとつ明かさねえ。

「お前はドクター・ストレンジか?!」

と言いたくなるぐらい、ジュピターには「説明しよう」という誠意がない。
「あのさあ!!」と肩を掴んでガクンガクン揺さぶりたくなる。
まったく魔法使いというやつは、どいつもこいつもろくなもんじゃない。

かくしてモリガンは、肝心なことは何もわからないまま、不安をいっぱいに抱えて魔法学園の入学試験に挑むことになる。
最終試験で披露しなければならない〈天賦の才〉。
モリガンの持つ〈天賦の才〉とは一体何なのか?

最後まで読むと、ジュピターの肩を掴んで「あのさあ!!!」とガクンガクン揺さぶりたくなる事請け合いである。
以下続刊。
モリガンよりもジュピターの成長に期待したい。

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