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生活感のないインテリアと、コンセント問題。そして生まれた「丸ごと隠せるコンセントカバー」。



はじめに

私は「居心地のいいインテリア」について考える事が好きです。

心から安らげる空間で 心地良い時間を過ごすという事は、人生の幸福度を上げるための一つの方法だと考えています。

木製の家具や小物が好きな私は、自宅インテリアをウッド素材中心に構成しているのですが、一つ一つの家具や小物の良さを最大限に引き出す為に、なるべくスッキリした見た目の空間作りを心掛けています。

今回はそんな自分が「普段から意識している3つのこだわり」と、そこから生まれたオリジナル商品「丸ごと隠せコンセントカバー」を製作するに至った経緯をご紹介したいと思います。


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その①
【ゴチャゴチャする小物類を徹底して隠す】

例えば文房具や書類関係など 挙げたらキリがないですが、ゴチャゴチャしやすい小物類は出来る限り見せないよう工夫しています。


それだけで部屋全体がかなりスッキリして、見せたい家具や小物の存在が、より一層引き立ちます。

布一枚で、見た目スッキリ
本棚にも布
ハンガーラックにはマルチカバー


その②
【プラスチック素材を増やさない】

プラスチックは家電や日用品など、生活に密着した商品に使われている事が多いので、どうしても生活感が出やすい素材だと感じています。

逆にプラスチックを減らす(または見せない)事で 生活感を軽減させる事ができ、少し非日常的な雰囲気を演出する事ができます。

ブリキのゴミ箱・陶器の鉢など
意識的にプラ素材を減らしたリビング。
空気清浄機はアイアンスタンドに乗せ、
見た目の生活感を軽減するアレンジ


その③
【配線やコンセント部分を見せない】

ゴチャゴチャした配線やコンセント周りは、部屋の中でも一番生活感が出やすい部分だと思っています。

コードは綺麗に整理して、配線カバー等で ある程度隠す事ができますが、問題となるのはコンセント部分の見た目の悪さです。

素材感はもとより、挿し込んだプラグの不自然な出っ張り…。



どれだけ家具や小物にこだわっていても、これが見えるだけで一気に生活感が溢れてしまいます。


生活感が出すぎるコンセント周り(左)と、
出っ張りをなくした最低限の対応(中・右)



巷には「コンセントカバー」と呼ばれる商品が沢山ありますが、そのほとんどが「コンセントの枠だけを交換する物」、もしくは「開閉式ケースで蓋をして、使う時は開けっぱなしにする物」かと思います。


これらはおそらく、使用頻度の低いコンセントに対して取付ける前提で作られているのでしょう。

ひとたび プラグを挿し込めば、肝心の見せたくない部分が全く隠せていないのですから…。

部屋の中で「最も生活感が出やすい部分がコンセント」だと感じているのに、その部分を丸ごと隠しながらプラグを挿して使用できるような商品は、なかなか見当たりません。


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私が本気で「コンセントを丸ごと隠したい」と思うに至った出来事がありました。

洗濯機上のスペースに置く小さい時計を購入したのですが、実はこの時計「電池+コンセント」で稼動するタイプだったのです。

それを知らずに購入してしまった為、仕方なくコンセントに繋いで見たところ、このような見映えになってしまいました。



洗濯機のコンセントだけならまだしも、時計のコンセントまで増えると、さすがに見た目が悪すぎます。

買った時計を使わないという選択肢もありましたが、思いのほかデジタルの視認性が高く 時間が見やすかった事もあり、コンセント部分をなんとかして この時計を使いたいと思うようになりました。

ただそれを簡単に隠せるような、シンプルで理想的な商品には なかなか出合う事ができません。


「探しても見つからないなら、自分で作ってみようかな」

そんな軽いノリで、コンセントを隠すための物作りがスタートする事になりました。

自分で使うために、自分で作ってみるという軽い気持ちなので、何の気負いもありません。

この時点で、商品として製作・販売していく事になろうとは、思いもしていないのですから。


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ざっくりとイメージしていたのは、こんな感じです。


◆ コンセントを使用しながら、全体を隠せるデザイン

◆ 材料はなるべく木材(天然木)

◆ シンプルで、違和感なくインテリアに馴染むような見た目



ちょうどその頃、使えそうな木材(古材)を見つけたので、それを使ってコンセントを隠す方法を模索し始めます。


「自分で使うため」なので、そこまでしっかりした物を作る気もなく、「いかに簡易的にコンセントを隠すか」を考えていました。

蝶番やロックなどは何もなく、何度も剥がせるシリコンテープで木の板を留めて蓋をするようなイメージです。




さすがにこれだけでは中途半端すぎる思ったので、「より良い見た目と使いやすさ」を考え始めたのですが、ここから少しずつ完成形のイメージが湧いてきました。



◆ 蝶番を付けて、扉で開閉できるようにする

◆ 扉が浮いてこないようにロックで固定する


自分で使うためにスタートした物作りでしたが、試行錯誤を繰り返しているうちに、

「商品として販売できるクオリティの物を作れば、自分以外の方も興味を持ってくれるのではないか?」

と思うようになっていきました。


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他の方にも使ってもらう事を考え出すと、アイデアはさらに膨らんでいきます。


◆ 木材を壁にしっかり固定して、スマホ充電時の置き台としても使用できるようにする


◆ 充電後のスマホケーブルを整頓・収納できるような機能を付ける


あればいいなと思ったアイデアを 全て詰め込めるように、アレやコレやと試作・改良を重ねていきました。


そしてついに、自分が欲しかった理想のコンセントカバーの第一弾が完成しました。

商品名はシンプルで分かりやすいのが一番だと思い、これ以上ないシンプルな響きの「丸ごと隠せるコンセントカバー」と命名しました。

丸ごと隠せるコンセントカバー
第一弾「クリップ型 左ロック」



さっそく洗面所に取り付けてみると、自分でも驚くほど見た目の印象が変わりました。

洗面所はプラスチックの物がとても多い場所なので、生活感が特に出やすいスペースですが、ウッドのカバーを取り付ける事で予想以上のほっこり空間が生まれたのです。




これに気を良くした私は、ロックの形状を変更した別バージョンも製作し、いくつかのサイトでネット販売を始めてみました。

レトロな雰囲気の「あおり留め 左ロック」


定番の形となった「アーチ型 中央ロック」


使いやすさが人気の「アーチ型 右ロック」


さらに、ワイドタイプのコンセントにも対応できるよう「Lサイズ(挿込口 横3列)」や「Mサイズ(挿込口 横2列)」も追加して、あらゆるサイズに対応できるようにしました。

ワイドタイプ L(挿込口 横3列)
ワイドタイプ M(挿込口 横2列)


ところがネット販売を始めても、すぐに物が売れるワケではありません。

閲覧数は少しずつ増えていきますが、全く購入される事がないまま、ただ時間だけが過ぎていきました。

一ヶ月が過ぎてもまだ売れず、「もしかして購入できない状態になっているのでは?」とサイトの設定に疑いを持ち出した頃、ついに初となる商品購入の通知がスマホに届きました。

「ようやく売れた」という嬉しさと、「本当に売れた」という驚きと、「本当に気に入ってもらえるのか?」という小さな不安が入り混じった不思議な感情でしたが、やはり「自分で考案・製作した作品が初めて売れた」という喜びが一番大きく、あの時の気持ちは今でも忘れる事ができません。

その後はネット販売だけでなく、ハンドメイドイベントでの対面販売も何度か経験し、一人でも多くの方に自分の作品を知ってもらう為の活動を続けています。

少しずつ売れるようになってきて 自分でも想定していなかったのは、通常サイズより「ワイドタイプ」の方がよく閲覧されており、商品も売れやすいという事でした。

そもそも従来のコンセントカバーも一般的な小さいタイプの物ばかりなので、大きめのカバーには潜在的な需要があったのかもしれません。


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おわりに

「コンセントを使用しながら、全体を丸ごと隠す」という事にこだわって物作りを進めてきましたが、これだけコンセントを隠す事に執着し、それに特化した商品を製作・販売している人間も珍しいのではないかと思います。

インテリアに興味がある方は是非一度、お部屋のコンセント部分にも目を向けていただき、私と同じようにその見た目が気になり出した方は、こんな作品を作って世に広めようとしている変わり者がいる事を思い出してみてください。



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