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EMARFを介して既製品利用のハードルを下げる -Why編

EMARFアンバサダーとして取り組む8月のプロジェクト。家族と話し合いながら戸棚の取替の設計を考えていました。
・扉の開き等、できるだけ使い心地を元の棚に近づける。
・長く使えること
・既存吊戸棚は垂れ壁にビス打ちで保持されていたが、限界が来て垂れさがってしまったため、両側に脚をつけカウンターに乗せる
・カウンター上が雑然としているため、収納を増やす
といった条件が上がりました。

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はじめは、デジファブの旨味を生かしてできるだけ合板じたいの切り方のみでこれらの条件に応じようとしていました。しかし考えれば考えるほど、既製品が使いたくなってくる。蝶番、突っ張りといった機能を合板の形の妙だけで実現することもできるかもしれませんが、既製品を使ったほうが機能的にも施工の簡易さの点でも信頼できると考えたからです。

そこで今回は、テーマとして既製品とのEMARFの組合せを積極的に試していこうと考えました。

そしてこのテーマに至るにはもう一つのモチベーションがありました。

アートボード 1Diagram2

現代において「設計」というとき、そのほとんどがとどのつまりプロダクト(すでに他者によって生み出されたもの)の組合せ方を考える作業を意味しています。当然この役割は設計者や職人によって担われて来ました。

EMARFはものづくりの民主化をそのテーマとしており、僕もこれに賛同しているからこそ、このように思うのです――家具や建築づくりで既製品の組合せが重要な営為である以上、EMARFを現代の日曜大工の道具として誰もが活用できるようにするには、そのノウハウのシェアが必要なのでは無いでしょうか。

ちなみについ最近、これまでBtoB限定だったMonotaro.comというプロ向け部品や工具の通販サイトが全商品について個人の発注に対応しました。
(個人向けECサイト「IHC.MonotaRO」をBtoBの「モノタロウ」に統合 | 通販通信ECMO )

こういったところからも、プロ向けだった部品が民主化されていく機運が高まっていると感じています。

さて、EMARFの強みと掛け合わせることで、今まで素人は使えなかった既製品がアクティベートされていったり、複雑な使用法が可能になる具体例を示して行きます。

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ワッシャーとアジャスタボルトを使った突っ張りのための機構
普通突っ張り具をDIYで使おうとすると金具の長さやボルトを回すための手を突っ込む分の大きなスペースを棚と天井の間に取らなければいけませんでしたが、このように棚の内部に埋め込んでみます。

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棚ダボ(ねじ込み式)
棚板の高さを変えられる突起型の金具です。9mm径のメンネジを埋め込むための8.5mmぐらいのダボ穴を彫り込み。手作業では垂直にドリルを入れるのが難しく失敗しやすい作業です。

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既存のコンセントタップを避ける
改修・補修の場合、もともとあったものもある意味既製品のような位置づけになります。寸法を測ってEMARFでくり抜くことも簡単になるでしょう。

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スライド丁番の彫り込み加工
戸板に35mm径の円形の溝を空けておく必要があります。本来職人がトリマーで行うこの作業も、EMARFにまかせてみます。


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そしてしつこいようですが、先月のプロジェクトのアイデアを応用し、フィレット穴にロープを通して雑誌かけを。

まとめ

アートボード 1Diagram2

こういった細かな加工のデータがあまねく公開された未来を夢想してみます。通販サイトを眺めるように、材同士の組合せ方のノウハウのデータベースを眺め選び取りながら、EMARFにそれらをプラグインできる。そうなったとき、異なる出自を持つモノたちを組合せるというものづくりの原初的な喜びが再度EMARFに組み込まれ、デジタルファブリケーションを使ったものづくりの可能性が一気に広がるのでは無いでしょうか。

このプロジェクトがその大きな流れのためのきっかけになればよいと思います。

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