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アイヌネギと八丁味噌

アイヌネギとは通称でありますが、キトピロというのもこれは通称でございます。
では学名はというと、ギョウジャニンニクというらしい。
雪解けの険しい山の斜面に生える知る人ぞ知る山の恵は、アイヌの人の言うところのネギなのです。

因みにアイヌネギという名称、呼称は差別的であるという貴兄もいるが、アイヌ民族に対し札幌や北海道がこれほどまでに気を遣いカネを使い敬って余りある現実を、アゲアシトリのような野党的リベラル的な感覚での批判は受け付ける必要は無しである。
これはアイヌネギなのである。

本州人にとり、名は聞けど手にとることなど皆無である山菜の王がこのアイヌネギことギョウジャニンニクなのである。
わずかに信州や奥飛騨、東北の高山にも生息するのだが、厳しい北海の冬を生きぬく道産のネギは少しばかり格が違う。

ニンニクのにおいのするネギ。
一年に一度だけ土の中から顔を出す。
人が食するまでの寸に達するには四.五年の時間を要する気の長い山の恵なのだ。
ただ凄まじい滋養の元となる山の養分をゆっくりと吸い尽くすに欠かせないのが気の遠くなるような長い長い時なのである。

たまたまであるが、今年の春先にこのギョウジャニンニクの新鮮な土付き物を手に入れることができた。
北海道の山から抜いたばかりのネギを土付きのまま北海道新聞に包んでその日の夕刻に名古屋まで直送してもらう。
もちろん、生物であるから日持ちなどするわけはなく、その日のうちに天ぷら、豚肉炒めで食した後は全て醤油漬けと胡麻油に漬け込む。
醤油漬けはギョウジャニンニクの最もポピュラーな保存法であるけれど、二か月ほど漬けこんだ醤油漬けをギュッと絞り、三河岡崎産八丁味噌に漬け込む。
もちろんネギから搾った醤油も味噌にとけこませる。
そして九鬼の太白胡麻油と青森は田子産の極上のニンニクをたっぷりとブレンドして、最後には当地処払いの兄弟から送られてくる韓国青陽産の唐辛子の粗挽きをふりかけた。

何が最高かって、、にぎりめしの具にこれがサイコーによろしいのです。
ネギとニンニクと胡麻の油が八丁味噌の芳醇と共に銀シャリにとけだします。

勿論、ありとあらゆる調味料にも良い。
チヂミや餃子や煮豚や蒸し鶏にも極上の仕事をする。

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