気持ちいい料理

昨年11月に、食の専門メディア『料理通信』が主催するSDGsカンファレンス「“食×SDGs” Conference -Beyond Sustainability- #1」にて、
小林武史さんがアイーダの小林シェフに言っていた言葉
「気持ちいい料理」

対談についてはこちら
https://r-tsushin.com/feature/sdgs/conference_01_wkobayashi.html

美味しい料理とか美しい料理はたくさんあるけど、気持ちいい料理ってなんだろうか。

なんとなくわかる気もするけど、言葉では言い表しにくい。

確かに、糖・塩・脂・化学調味料などより、快楽物質であるドーパミンの効果で感じる快感は気持ちいいのかもしれないけど、おそらくそんな気持ちいいではない。脳内的は気持ちいいけど身体的にはダメージを受けているし、だったらファーストフードでも駄菓子でもよいことになる。
また、一方で幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」や、癒し成分「GABA」など、気持ちいいにつながりそうな効果がある食べ物もある。これも安心する味とか料理とは言えるけど、気持ちいいほどの快感は感じない気もする。

つまり、小林武史さんが言いたかった「気持ちいい」は、快楽的な「気持ちいい」ではないし、気分がいい「気持ちいい」でもない気がする。


どうしても気になって「気持ちいい」を調べてみることに。
ちなみに「気持ちいい」をgoogle検索すると。。。まったく参考になりません。
世の中の「気持ちいい」って。。。

切り替えて、「気持ちいい」=「幸せ」と置き換えてみると
マーティン・セリグマンの幸せの5つの軸(種類)が出てきた。
1.達成 Achievement
2.快楽 Positive emotion
3.没頭 Engagement
4.良好な人間関係 Relationships
5.意味合い Meaning

なるほど。
これはこれで参考になりそう。

次に見つけたのは、
幸福や楽しみの研究をしていた心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー(Flow)」
フローは「時を忘れるくらい、完全に集中して対象に入り込んでいる精神的な状態」らしい。
他にも「ゾーン」とか「ピークエクスペリエンス」と言われている。

この状態にも脳内物質の影響があるけど、外部刺激によるものではないので身体的負担はないし、持続性もある。

そして、さっきのフローとの共通点の発見!

「没頭」「我を忘れて」ということ。
つまり時間を忘れてしまうくらいとんでもなく集中している状態。
感覚が研ぎ澄まされた状態で食べる料理は、普段以上にたくさんの刺激に満ちているはずでそりゃあ気持ちいいに違いない。

余談になるけど、
この没頭は視覚や聴覚による空間演出でも作り出せるのかもしれない。

さらにそこに、良好な人間関係(仲良し)と意味合い(ストーリー)が加わることで、めちゃくちゃ幸せを感じることができる。
さらにアイーダに関しては、和歌山県岩出市で1日1組のレストランなので達成までついてくる。すごい。

そう考えてみると、行列ができるラーメン屋は
達成(並んで食べる)と快楽(塩と糖と脂と〇〇)が伴っているのである意味では幸せなのかもしれない。。。


これからの料理を考えたときに大切なことは
美味しいことはもちろんではあるけれど
この幸せをどうやって詰め込んでいくのか。

ただお腹を満たすために食べる、栄養をとるだけ、
そんなものは料理人のやることではない。

ただ単なる料理の価値や値段ではなく
幸せの価値や値段を考えていく必要があるように思う。
と、同時にどうやって伝えていくかもとても大事。
なぜなら伝わらなければただの自己満足になってしまう。
だれも価値を感じないし、お金も払わないという悲しい結末。


料理でみんなが幸せになる方法
一緒に考えようー!

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