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雨の音は静電気

山口県に住む祖母に会いにいくための新幹線。
窓の外の景色をぼーっと眺めていた。
田んぼ山山川。
山の間からは温泉だろうか白いもやがふわふわと漂っていた。
雲間からのぞく青空が気持ちいい。部屋に取り込んだ洗濯物が悔しい。

パチパチ

静電気のようなかすかな音が数個、転がっている。
後ろの席の人がお菓子を開けているのだろうか、
と思っていたら、瞬く間に、窓の表面はいくつもの透明な線と点で埋め尽くされ、緑がかった外の景色はぼやけていった。

雨だ。
青空は消え、灰色の雲が薄く何層にも連なっている。
新幹線が雨の地域に入ったのか、それとも時間が経って天気が流れたのか。
先週から天気予報は台風が上陸することを伝えていた。

しかし、5分も経たないうちに雨は上がり、窓の表面も乾いた。
遠くの景色には青空も見える。
どうかこのままの天気であってほしい。

台風の影響により小倉-博多間は運転を見合わせています。
車内には放送が流れている。
どうか何事もなく山口県に着いて、ばあちゃんに会えますように。
今日の晩ご飯は、ご馳走。ちらし寿司に、茶碗蒸しなのだ。

#エッセイ

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