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「異質なものを取り入れて視野が広がる」

「後天的にがんばって事柄や問題解決に焦点を当てる考え方を学んで、実践して、強化してきた」という稲垣亮太さん。そんな亮太さんがこれまで強化してきたものとは「異質」と感じたコーアクティブコーチングに興味を持って学び始め、その結果として仕事の能力や成果にとどまらず、視野が広がり自身の人生の豊さも得られる進化のストーリー。


Co-Ative Story Vol.15 稲垣亮太さん
SmartDrive執行役員CSO。CPCC(CTI認定資格)取得プロコーチ。Salesforce→Marketo→Adobeで日本法人立ち上げ/営業責任者等を経験。グロービス経営大学院MBA。米国CTI認定CPCC。趣味は自然体験とラン。千葉県出身。一児の父。


―まずは、CTIでコーチングを学ぼうと思ったきっかけを教えてください。

僕は、30代半ばの時に基礎コースを受けました。夜間の大学院に通い終わったあとで、そこでの学びが人生を大きく変えたり、学ぶ習慣ができた事もあったので、引き続き何かを学んでいこうかなと思ってました。

当時は外資IT企業で法人営業をしていて、経営層の方々に対して、その人の個人的な価値観も加味してアプローチすることを学んだり、上司の影響もあって、人の心の仕組みに関心が高くなってました。あとは実は、大学時代にたまたま講座を受ける機会があって、コーチングの存在自体はかなり昔から知ってました。



―元々興味があったのですね。

はい、ずっと興味ありましたね。当時はコーチング以外にも、近いというと語弊があるかもしれないですが、NLPも興味を持ってました。人に聞いたり調べたりする中で、たまたま出会ったCTIがやたらと響きました笑。

これまでの仕事やビジネススクールでの学びは、当たり前ですけど問題解決や目標から逆算する考え方が強かったんですね。コーチングの中にもそのような色合いが強いところもある中で、CTIは当時の僕からするとかなり異質で新鮮で笑。視野がすごく開ける感じがしました。

うまく言葉にならないんですけど、何て言うんですかね。今までとは全然違うメガネで世界を見ているような、視野がグッと広がるような感じがありました。直感で「これだ!」と思って飛び込みました。


―そうなんですね。 目の前のことをやるだけでも忙しいですよね。そんな中でも学ぶことに軽やかに踏み出していく感じがします。

ありがとうございます。そうやって見えてもらえてうれしいなと思うんですけど、実態としては興味があることをやり散らかしていて。その中で、歯車が噛み合って回り始めたものと向き合うというのが、僕からの見え方です。なので、中途半端になってしまっていることのほうが多いですが、とりあえず興味があることには、小さく一歩を踏み出すようにはしています。コーチングについてもまだまだこれからかなと思ってます。


―「やり散らかした」中では、コーチングは結構噛み合ったものだったんですね。問題解決にフォーカスとは違う面白さとはどんなものだったのでしょうか。

そうですね。僕の場合は日常生活を過ごしていると、事柄に向き合うことの方が圧倒的に多いですし、仕事でもそれが当たり前で、たぶん正しいとされていますよね。だけど、コーチングって極論すると、事柄はどうでも良くて、目の前の人だけに焦点を当てますよね。全く同じ世界にいても、焦点の当て方を変えるだけで全く違って見える。これはめちゃくちゃ衝撃的でした。

この感覚は、クライアントとしてセッションを受けるくらいだとピンと来ないと思うんですけど、基礎コースを受けると相当な変化が体感できるので、興味がある方は飛び込んでみるといいと思います。



―その「衝撃的」と言うところをもう少し聴いてみたいです。事柄ではなく、人に焦点を当て続けたことで見えた世界が全然違うということなんですが、どんな世界に見えたのですか?

そうですね。僕は事柄に焦点を当てたり、人に焦点を当てたりを、いったりきたりしている感覚でやっています。例えば仕事中だと、仕事上の課題解決のために、目標達成から逆算して今なにをやるべきかという事柄に焦点を当てたり、「この人の中で今何が起きているんだろう?」「この人はどんな価値観や願いを持って今ここにいるんだろう?」という人に焦点を当てたりしています。なのでもしかしたら、たまに変な質問してくるなと思われているかもしれないですけど笑。

僕本来はかなり右脳的な人間なんですけど、後天的にがんばってトレーニングして、ビジネスの世界でやっていくために、事柄に焦点を当てた考え方を学んで、実践して、強化してきたのかなと思います。そこに人に焦点を当てたあり方、関わり方でいることも加わって、少し仕事の成果にもつながっているような感じがしますし、仕事だけでなく人生全体が豊かになったような感じがしてます。


―そのような関わり方をしたことで、自分自身の豊かさを感じられる。

はい、かなり。これまでとは違うメガネをかけて、見えていなかったものが見えたり、同じものでも感度が上がったので、見えるものが増えた、みたいな感じですかね。


―視野が広がっているような感じですか?

はい、そう感じます。同じ事が起きても味わい尽くせていなかったような感じがします。今はいいこともわるいことも全部味わって、より豊かな人生を歩めているような気がしてます。あとは、NCRW(注:コーアクティブ・コーチングの4つの礎の一つ『人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である』)ですかねぇ。

コーチングを学ぶことや、自分自身がコーチとして活動していくことで、仕事でも家族でも友人でも、人との関わり方は変わった感じはしてます。これまでよりも心の底から、目の前にいる人に対して、「この人には本当にいろんな可能性があるよな」とか、「僕はこの人の可能性を判断しきれないな」と思えるようになったし、自分のあり方に自覚的になったような感じがしますね。



―それは、可能性の話をしてくれている感じもします。相手の可能性が広がることであると同時に、自分の可能性も広がったということでもある。そんな感じに聞こえました。

ありがとうございます。そうですね。焦点を当てるものが確実に事柄から人へ切り替わって、見えるものがだいぶ増えたかなと思います。実際にはそんな単純な話ではないですけど、切り替わると全然世界が違って見えます。人に焦点が当たっている時は、「この人はどんな人なんだ?」と品定めするみたいな視点じゃなくて、「僕もあなたも無限の可能性があるよね」という前提というか、あり方で関わるので、見えるものも全然違います。


―相手の反応も変わってくるんじゃないですか?

そうですね。今は沢山のチームメンバーと一緒に営業やマーケティングの仕事をしていて、一人ひとりが決めた目標をどうやって達成するかみたいな話を、役割演技上やってます。メンバー一人ひとりの成果の合計が、僕の成果になりますし、責任をとります。その時に、事柄にだけに焦点を当てて、例えばKPIの話だけをしても、人間はロボットじゃないので、やっぱり成果は出にくいなと思います。そうではなくて、「この人には本当に可能性があるな」と思いながら、あとはその人の仕事上の目標だけでなくて、個人的なゴールや人生で大切にしている価値観は何かに焦点を当てて関わることで、成果につながると信じています。自分のマネジメントの仕方も、昔はかなりひどかったんですけど、少しずつだけどマシになってきてるんじゃないかなと思ってます笑。


―部下だけでなく、B to Bで企業さんと関わる時にも関わりに変化があるのではないですか?企業のニーズもありながら担当者の価値感やニーズにもすごくフォーカスしているそうですね。

はい。商談でお話するお客様は、担当者から経営層の方まで幅広いですが、それはあると思います。前職で法人営業の能力開発のひとつで、個人の価値観に対するアプローチを学んだことがありますが、さらに自分でコーチングを学びコーチとして活動することで、それが深まった感じはあると思いますね。営業スキルとしてかなり効くと思いますね!「効く」っていきなり事柄の方へいっちゃいましたけど笑。すごくいいと思うんだけどな。


―そういう意味では具体的な関わりができるようになったということは、亮太さんが担うマネジメントにとって出すべき結果や得たい結果など、求められているものを追う時にすごく役に立ったということなんですね。

だと思いますね、はい。ビジネスの世界だけで見ても、リターンは大きいと思いますね。そういうものをなんとなく期待して、学び始めたというのもありますけど。だから、間違っていなかったなって。本当によかったです。

以前はマネジメントとして、答えを持っていなければならないとか、弱みは見せてはいけないとどこか思っていたところはありましたけど、今は正直にわからないものはわからない、困ったなど話すようになって、「これが自分だ」と見せられるようになりました。見せ過ぎてしまったかなと思うこともよくありますが笑。ただそうするとメンバーのあり方にもよい意味で波及しているような気はします。今の仕事の業績やエンゲージメントサーベイや離職率からも、それが言えるかなと思います。


―コーチングを学ぶことの目的や期待する効果として、パフォーマンスの向上はもちろん、エンゲージメントの向上、離職率の低下は、他の方からも聞くことです。

正直学ぶのにも時間がかかるし、仕事で一人ひとりと1on1するのってすごく時間がかかって、他にもやらなければならないことができなくなる側面はあります。副業でもコーチングをしているんですが、これも結構プライベートな時間が取られるんですよね。なんでこんなに時間をかけてやっているかというと、コーチングの価値を信じてるし、単純にやってて楽しいからだろうなって思います。



―本当にそうですよね。楽しいや好きだからできる。自分がどんなことが楽しく、好きなのかに自覚的であるのはとても大事なことです。

自覚的であるっていうのは大事ですね。すごく大きいですね。

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―改めてコーチングをすることの亮太さんの楽しさはなんですか?

目の前にいる人の人生の目的は何だろうかとか、何を大切にしているのかとか、今どんな感情を味わっているんだろうかとか、そう思いながら相手に関わると、全部自分によい意味で跳ね返ってくるなって思います。

コーチとして目の前の人に関わることで、結果的に自分自身が今どんな感じかということにすごく自覚的になっているなと思います。自分も何を大切にしているか、人生の目的は何なのか、今どんな感情があるのか、味わえているのか、見えているのか、蓋をしているのか…。自分でわからない時もあって、その時はコーチに伴走してもらっています。そういう意味では、ライフスキルって感じもしますね。


―そうですね。

あともう一つ。僕、営業の仕事が本当に大好きで、一生やっていきたいなと思ってます。チームを作って、いいと思ったものを世の中に広めていく活動の中で、売上予測はAIに置き換えられるし、単純なものを売っていくのは自動化されていくと思うんです。でも、人間の心の仕組みの領域って自動化されにくいし、むしろますます重要なスキルになっていく気がしてます。だから、単純にビジネス的な観点でもめちゃくちゃおもしろい領域だと思うんですよね。今この領域のテック企業も、めちゃくちゃ伸びているんですよね。


―なるほど。テクノロジーが進めば進むほど、この領域がすごく求められるし、その価値が高まっていく、そんな感覚があるんですね。

コロナ禍で人と人とが急激に会わなくなったら、社会全体が不安になりましたよね。今後もテクノロジーが進化して、そこまで働かなくてもよくなったり、可処分所得時間が増えていくと、「自分は何のために生きているんだろう?」とか考えることは増えるだろうし、価値観もどんどん多様化していきますよね。そういう時の拠り所になるようなものとしても、コーチングの役割は大きいと思ってます。みたいな、いろんな理由ですごくおもしろい領域だと思っていて、これからもいろんな関わり方をしてみたいと思っています。


―業界の先端にいるからこそ、そういうところで可能性を感じているのがすごく伝わってきました。今日は、ありがとうございました。


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