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CAPSULEアルバム全作紹介番外編・シングル全作紹介 pt.2 配信編

前編に当たる「フィジカル編」はこちら

 この記事では2008年以降に配信販売された各種シングルについて書いていく。

 2008年の『JUMPER』を最後に、CAPSULEのシングルはフィジカルではリリースされなくなる。後にヤスタカのソロでレコードストアデイ限定の7インチなどがリリースされたことはあったが、今のところ「CAPSULE」としてのシングルは全て配信に軸足を移している状態だ。
 12インチシングルとしてリリースされていた各種Extended mixの類は、『WORLD OF FANTASY』以降、アルバムのCD盤の初回特典のボーナスディスクとして付属する形が常態化することとなる。

 何故フィジカルでのリリースをしなくなったか、ということについて多分本人が語ったことはないと思うが、『Sugarless GiRL』以降の作品から歌詞カードが消えたのと同じで、率直に言ってしまえば「本人がもういいと思ったから」ではないだろうか。
 恐らく先行シングルを12インチでリリースしていたのは、フロアユースの需要に応える意図があったのだと思うのだけれど、2008年辺りからDJもデータやCDJでDJを行うことが増えて来ていただろうし、一般リスナーの間でも「シングルは単曲配信で買う」という選択肢を選ぶ人の数が既に増えてきていたと思われ、それを思えば12インチのリリースを取りやめたからといって、今更何年も前の『レトロメモリー』ですでに手を引いてしまった、CDシングルという中途半端な媒体でリリースすることは端から選択肢の中になかっただろう。そのような時代背景により、フィジカルでのリリースを「止める理由があった」というよりは、「続ける理由がなくなった」可能性はそれなりに高いと思う。
 また、2007年以降のCAPSULEはiTunes storeでの配信販売の普及促進に対して非常に積極的で、この頃のアルバムの殆どにはiTunes store限定のボーナストラックが付属しているし、配信シングルの殆どもiTunes Store限定で販売された。中田は音源配信のユーザビリティの高さにかなり早くから目を付けていたミュージシャンの一人と言えるだろう(それを考えると、実は中田本人はサブスク解禁がとても遅れたことを、実はすごく気にしていたんじゃないか…と邪推してしまう)。

 そういうわけでここで紹介するシングルの殆どはiTunes Storeを中心に販売されたわけだが、その結果として、結局今でもiTunes storeでしか入手できない音源も複数ある。
 apple側はサブスクリプション・サービスであるApple Musicへのサービス移行を進めている節が見られるが、実はCAPSULE配信シングルの一部はApple Musicでは配信されていない。その殆どはアルバムに収録されているものと同じ音源だが、一部はここでしか聴けない音源も含まれており、それらはもしかしたら早めに入手しておいた方が良いかもしれない。



『Sugarless GiRL - Single』

 2007年2月リリース。アルバム『Sugarless GiRL』からのシングル。同名曲の単曲配信でアルバム版と同一音源。
 この記事は原則として2008年以降のリリースを扱う記事だが、例外として付記。

『more more more - Single』

 2008年11月リリース。アルバム『MORE! MORE! MORE!』の先行シングル。同名曲の単曲配信でアルバム版と同一音源。

『the Time is Now - Single』

 2008年11月リリース。アルバム『MORE! MORE! MORE!』の先行(?)シングル。同名曲の単曲配信でアルバム版と同一音源。
 理由は不明だがアルバムとは別ジャケット。
 恐らく「JUMPER」のカップリングとしてカットされたからこちらも先行シングルとして配信しよう、という判断なのだとは思うが、殆ど無告知でリリースされた上にジャケットも適当極まりないので、暫くのあいだ「無許可で配信された音源なのか…?」と疑っていた。

『iTunes Live From Tokyo - EP』

 2008年12月リリース。
「iTunes Live From Tokyo」シリーズは日本のapple storeにてインストアライブを行ったミュージシャンが、ライブ開催後にiTunes Store限定で配信販売していたEPシリーズ。バンドや生演奏を用いたミュージシャンはライブ音源を、エレクトロニック系のミュージシャンはそのライブ用に用意したアレンジ音源等を主に配信していた。
 capsuleはアルバム『MORE! MORE! MORE!』発表直後の11月29日に渋谷apple storeにてインストアライブを敢行このEPはその際に披露された4曲を全曲収録している。

 後に「JUMPER (Live mix)」のみ『FLASH BEST』に再録されているが、それ以外の3曲はここでしか聴けない非常に貴重な音源となっている。また全曲アルバム版よりも尺が長くなっていることからもわかる通り、そのどれもがアレンジに割と強めの変更が加えられた別バージョンとなっている。
 イントロなどの一部の箇所のコード進行がアルバム版から変更されており、更にはここでしか聴けないアウトロが追加されている「more more more (Live mix)」も、全体のアレンジにかなり手が加えられアルバム版とはかなり雰囲気を異としている「the mutations of life (Live mix)」も注目に値すべき内容になっている。
 しかし、白眉はやはり「Pleasure ground (Live mix)」だろう(上記にリンクを張ったライブレポート内に記述されている中田のMCによると「街に出たらもうクリスマス一色だったから、それに似合うようにニューバージョンを作りました」とのこと)。まずイントロにはオルゴール系の音色を用いたパートが追加。曲の入りもアルバムとは全く別のものが用意され、ビートが入ったあとにはアルバム版にはないシンセが追加、1番と2番の間もアルバム版の間奏とは全く違うブリッジに差し替え。挙句の果てに原曲では2番のサビの後にアウトロを持ってきて幕、としていたが、このバージョンは2番のサビの後にアルバム版にはないCメロが追加され、そこからラスサビへと雪崩込んでいくドラマチックな展開が用意されている。アウトロもアルバム版より長く、全体の尺はアルバム版より2分ほど長くなっている。非常に感動的なバージョンに仕上がっており必聴。
 残念ながらiTunes Store及びApple Music以外では配信されていない(というかApple Musicでも一覧にあるだけで聴けない?)。個人的には配信限定音源の中で最もフィジカル化して欲しいアイテム。

『FLASH BACK (Extended-Live mix) - Single』

 2009年8月リリース。『FLASH BEST』の先行シングル。同名曲の単曲配信でアルバム版と同一音源。

『Love or Lies -LIAR GAME original ver- - Single』

 2010年1月リリース。「Love or Lies」が映画『LIAR GAME -The Final Stage』の挿入歌としてタイアップされた際にリリースされたシングル。アルバム『PLAYER』の先行シングルとしても機能している。
 一応バージョン違いということになるが、恐らくアルバム版との差は実際にはマスタリングのレベルぐらいの差しかないと思われる。一応DJソフトを使って同時に流して比較してみたが、若干高音域が異なって聴こえる以外には殆ど違いが確認できなかった。尺的にも2秒程度しか違わない。

『Stay with You -LIAR GAME original ver- - Single』

 2010年3月リリース。「Stay with You」が映画『LIAR GAME -The Final Stage』の主題歌としてタイアップされた際にリリースされたシングル。

 こちらは「Love or Lies」とは異なり、アルバム版とは全面的にアレンジが異なる別バージョンとなっている。アンビエント風のイントロとアウトロが追加されており、間奏も二回ともアルバム版とは全く異なるものに差し替えられている。
 また楽曲そのものも、アルバムのトーンに合わせてリズムが強調されていたアルバム版と比べると角が丸い音色で纏められており、よりメロディが前面に出ている印象。個人的にはアルバム版よりもこちらの方が好き。尺はアルバム版より10秒ほど長い。途中で聴こえる男声コーラスはもしやヤスタカによるものだろうか?
 2021年現在、iTunes Storeのみで入手できる音源となっている(Apple Musicでも未配信)。

 上記二作のジャケットはアルバム『PLAYER』用に用意されたアーティスト写真に映画『LIAR GAME』のロゴを入れたものになっている。

『WORLD OF FANTASY - Single』

 2011年2月リリース。『WORLD OF FANTASY』の先行シングル。アルバムとは別ジャケット(当時アルバム用に撮影されたアーティスト写真)。同名曲の単曲配信でアルバム版と同一音源…のはずだが2秒ほど尺が違う。
 このアルバムは『KILLER WAVE』としてリリースされる予定だったが東日本大震災を受けてこの曲を表題曲とする形でアルバムタイトルが変更されたうえでリリースが延期された経緯があるため、もしかしたら音源にも違いがあるかも。近いうちに調査します。

『Step on The Floor - Single』

 2012年2月リリース。『STEREO WORXXX』の先行シングル。アルバムとは別ジャケット(当時アルバム用に撮影されたアーティスト写真)。同名曲の単曲配信。
 アルバム版とは2秒ほど尺が違うが、さすがにこちらはアルバム版と無音部分の尺が違う程度の差だと思われる。

『Feel Again - Single』

 2014年12月リリース。『WAVE RUNNER』の先行シングル。アルバムとは別ジャケット(当時アートワーク等に使用されていたロゴの下に曲名を書いたもの)。また今作以降のシングルは全てサブスクリプションサービスでも配信されている。
 原曲とextended mixの2曲入り。表題曲はアルバムと同一音源。extended mixはアルバム初回ボーナスディスク収録音源とは尺に数秒差があるが、恐らく恐らく楽曲終了後の無音部が短いだけで同一音源と思われる。

『Another World - Single』

 2015年1月リリース。『WAVE RUNNER』の先行シングル。アルバムとは別ジャケット(当時アートワーク等に使用されていたロゴの下に曲名を書いたもの)。
 原曲とextended mixの2曲入り。表題曲はアルバムと同一音源。extended mixはアルバム初回ボーナスディスク収録音源とは尺に数秒差があるが、楽曲終了後の無音部に差があるだけの同一音源と思われる(spotifyで聴く限りでは配信版は余韻が短すぎ)。

『White As Snow (extended mix) - Single』
『Hero (extended mix) - Single』

 2015年2月に同時リリース。『WAVE RUNNER』の先行シングル。アルバム初回ボーナスディスクに収録されたExtended mixのみを単曲配信。
 「Hero」はアルバム初回ボーナスディスク収録音源とは尺に数秒差があるが、恐らく楽曲終了後の無音部が長いだけで同一音源と思われる。「White As Snow」はアルバム初回ボーナスディスク収録音源と同じ尺。

『ひかりのディスコ』

 2021年6月リリース。アルバム『WAVE RUNNER』以来6年振りとなる音源。結果的に2023年にリリースされたアルバム『メトロパルス』の先行シングルになった。映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」の主題歌のタイアップが付いている。
 アルバム『メトロパルス』収録の際にはAlbum Mixで収録されたが、同アルバムの初回盤特典のボーナスディスクでシングルバージョンもCD化されている。
 配信開始時には楽曲シェアキャンペーンとして抽選プレゼント企画が行われており、その景品として非売品のカセットテープが50本製作された。A面には表題曲、B面には表題曲のカラオケバージョン(インスト)がそれぞれ収録された。このインストバージョンも『メトロパルス』初回盤のボーナスディスクでCD化されている。

『うつせみ (映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」) Movie Version』

 2021年6月リリース。タイトル通り、映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」の挿入歌として製作された曲。
 2022年にリリースされたアルバム『メトロパルス』の早期予約特典としてCD化されているが、このCDに収録されている音源は「Movie Version」と同一音源である(公式サイトの告知でも"「Movie Version」"を収録していると明記されている)。そのため、今作のタイトルには「Movie Version」とあるが、2023年2月現在この曲は「Movie Version」以外制作されていない、あるいは別バージョンが製作されていたとしてもリリース・公開はされていないことになる。
 なお今作も楽曲シェアキャンペーンとして抽選プレゼント企画が行われ、当選者には映画の関連グッズがプレゼントされた。

 楽曲としては『ハイカラガール』期を思わせる「和」路線の曲調になっている。きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲などでは「和」路線の回帰が定期的に行われていたものの、CAPSULEとしてここまではっきりと『ハイカラガール』期の作風に回帰した楽曲はほぼなかったため貴重だし、またヤスタカのソロ名義で製作された「何者」のサントラ盤のそれに近い、環境音楽的なアレンジも非常に興味深い。
 …が、いかんせん短すぎる。挿入歌としての機能性が優先された結果なのだろうけど、こしじまがかなり期待を煽るフレーズを歌い始めた、と思ったらそのままスッと終わってしまうのでかなりもどかしい。
 恐らく作風の違いでアルバム本編には未収録になったとはいえ『メトロパルス』関連楽曲としては一番最初に存在が明かされた曲(リリースは「ひかりのディスコ」の方が先だが、情報解禁はこちらの方が早かった)だし、「Movie Version」と銘打っているだけあってこの後にもっと長いフルバージョンが製作されるものだと期待していたんだけどなあ…。

『フューチャー・ウェイヴ』

 2021年9月リリース。『メトロパルス』の先行シングル第2弾。
 配信開始前には、ワーナーミュージック・ジャパンが公式twitterで行っているアンケートに答えるとこの曲の30秒間の”最速試聴”が出来る、という企画が行われた。一見何の変哲もない施策だが、実際にアンケートに答えて聴くことができたのは文字通り「最速」の試聴音源―この曲のイントロからサビ~Aメロ辺りまでの箇所を数倍速で早回ししたものだった、というオチが付いていた。
 アルバム『メトロパルス』収録の際にはAlbum Mixで収録されたが、同アルバムの初回盤特典のボーナスディスクでシングルバージョンもCD化されている。
 今作も楽曲シェアキャンペーン・抽選プレゼント企画が行われており、景品として非売品のカセットテープが50本製作された。A面には表題曲、B面には表題曲のカラオケバージョン(インスト)がそれぞれ収録された。このインストバージョンも『メトロパルス』初回盤のボーナスディスクでCD化されている。

 …以下は間違えていた記述を供養するためのスペースです。
 同ボーナスディスクにはシングルバージョンのインストも収録されているが、今作に関しては抽選プレゼント企画が行われなかった関係で景品のカセットテープが製作されておらず、そのためこの曲のインストバージョンはここが初披露となった。

『バーチャル・フリーダム』

 2021年12月リリース。『メトロパルス』の先行シングル第3弾。
 アルバム『メトロパルス』収録の際にはAlbum Mixで収録されたが、同アルバムの初回盤特典のボーナスディスクでシングルバージョンもCD化されている。
 今作も楽曲シェアキャンペーン・抽選プレゼント企画が行われており、景品として非売品のカセットテープが50本製作された。A面には表題曲、B面には表題曲のカラオケバージョン(インスト)がそれぞれ収録された。このインストバージョンも『メトロパルス』初回盤のボーナスディスクでCD化されている。

『ギヴ・ミー・ア・ライド』

 2023年12月リリース。『メトロパルス』の先行シングル。これまでのシングル3作とは違ってアルバム収録曲の先行配信の趣が強く、音源もアルバム収録のものと同一となっている。
 今作も楽曲シェアキャンペーンとして抽選プレゼント企画が行われ、当選者にはオリジナルポスター(アルバムに使用されたアートワークを基にしたデザインとなっている)がプレゼントされた。