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#WDPDTW読書会 1983 Week 38(とWeek30):ダーリン・ニッキー

Tudahlさんのを1週間分ずつ読む#WDPDTW読書会で聞いたこのメモと感想です。
1983 Week 38: 2023/09/23配信分。(Sunday, September 18, 1983–Wednesday, September 21, 1983)
1983 Week 30: 2023/07/30配信分(Late  July, 1983)

Week 38の読書会は、インタビュー記事などトピックが盛りだくさんでしたが、1983年9月18日には、久しぶりにDarling Nikkiのスタジオ作業がありました。

これより前、7月30日配信の読書会、Week 30のとき、本では(LATE JULY 1983)の頃に、トラッキングがありました。Week 30の読書会は、Erick Leedsの3時間インタビューのあとに1時間くらいDarling Nikkiについて話があったのですが、それを聞いてnoteに書く余裕がなかったので、ここでまとめて復習&今回のノートとりをしたいと思います。


エスむらさんのブログ

その前に、私がDarling Nikkiをきちんと聴けるようになった、というか、この曲の魅力にやっと気づくことができたのは、その手ほどきをしてくれたのは、エスむらさんのブログです。

読書会 Week 30: 2023/07/30配信

まずはWeek30の読書範囲です。Late July, 1983の頃にベーシック・トラッキングやオーバーダビングなどがありました。サンセット・サウンド・スタジオと比べると、キオワ・トレイル・ホーム・スタジオの作業は、正確な日付や作業内容の記録が残っていません。

本には、エンジニアのDon Battさんが、プリンスが作業しやすいよう準備してくれたこと、プリンスの1人宅録のことなどが書いてあって、おもしろいです。また、1983年7月の時点では、まだヴァニティが出演する予定で、その役はprincevaultにも書いてありますが、Nicarthra Ann(縮めてNikki)という名前でした。キャスティングが変わり、脚本が変わり、この曲の使われ方も作曲時のイメージとは違っているでしょう。

もしもヴァニティがパープル・レインのヒロイン役だったらという、たられば話は、読書会でもよく話題になります。もっとカルト・ムービーになっただろうね、と。

実際、どんな脚本が作られていたのかわかりませんが、これまでTudahl本を読んだ限り、ヴァニティはデンジャラスな魅力な持ち主だとマグノーリさんも語っていますし、脚本には危険なシーンもあったかもしれませんし、ヴァニティは無邪気に湖に飛び込んでくれるようなキャラじゃないし、Take Me With Uのような曲も生まれず、さわやかに森の中を走るようなシーンはなかったかもしれません。いい映画ができても、大ヒットはしなかったかもしれませんから、ペイズリー・パーク・スタジオはまだ建たなかったかもしれないです。ヴァニティとアポロニアのどっちがいい、ということではありませんが、運命というか、巡り合わせの妙がすごいです。

実際の映画では、このヴァニティ色を残すこの名曲が、荒れるキッドのシーンにうまい具合にはまって、アルバムに入って、本当によかったと思いました。

本の中では、Late July, 1983の節で、この曲のシャウト(Screaming)と懇願(pleading)について、いい感じにまとめて書かれています。

その他、ティッパー・ゴア、フーファイターズ、などなど、Darling Nikkiに関する必修事項を確認しました。

読書会の中で、当時は猥褻な曲だと非難されたけれど、現在の基準からすると、マイルドだという感想が出ていました。確かに、世界観としては大人の世界ですが、言葉だけでは、そこまで汚くないです。

当時中学生くらいで聴いていたDe Angelaさんたちも、何のことだかはきちんとは理解していなかったと言っていたと思います。中学生なら、だいたいそんなものですよね。学校中のニッキーという女の子は、みんなダーリン・ニッキーと呼ばれるようになったという思い出話も出てきていました。

手書き歌詞

本を持っているのにきちんと見ていなかったのが、The Beautiful Ones(回顧録)に載っている手書き歌詞です。読書会で聞いて、時間のあるときに、じっくりと見てみました。

回顧録のThe Beautiful Onesは、1回通して読みましたが、どこもかしこも、じっくり読み直したい箇所ばかりです。写真や歌詞やその他手書きスクリプトの宝庫ですが、まったく読み返す事ができていませんでした。歌詞もイラスト入りのものなどに目がいってしまってました。

回顧録に載っているDarling Nikkiの歌詞は、鉛筆書きで、絵もなくて、ぱっと見は地味です。字は普通に美しい筆記体です。Let's Go Crazyも同様で、見た目としては仲間です。映画のために、同時期に書いていたのでしょうか。

Darling Nikkiは、今の歌詞とは違う1番が先に書かれ、次の段に今の1番が書かれ、2段目が1番歌詞、1段目が2番歌詞となるよう、番号が振られていて、さらに、1段目2番歌詞が削除され、2段目が1番歌詞となりました。と書いてもわかりにくいですので、回顧録のほうを確認してください。この後も、歌詞を練って、世界が広がっていく過程を追えますし、消しゴムで消して書き直した歌詞もわかります。消えた1番も含めて、歌いながら(歌えているつもりで曲を思い浮かべながら)読むと楽しいです。

消えた1番の歌詞は、「僕の彼女のニッキーの手料理はクソまずい。料理ができないけれど、grindできるから最高」とまとめていいくらいの内容しかありません。ここから今の1番への進化がすごいです。

今の2番の後は、朝起きたらニッキーがいなかったという現4番を先に書いて、その後で、お城がぐるぐるする現3番を追加しています。1番、2番、4番は消して書き直した跡が多いですが、3番は消したあとは少なめで、筆跡もあまり途切れず、落ち着いています。3番は後半はすごいシャウトになるのですが、そういうのをイメージしながら歌詞も書いたのでしょうか。一気に出来上がったのかもしれません。などと、勝手に想像しながら読むと楽しいです。

コーダ部分のレコーディング:逆再生とプリセット

プリンスは8月中旬にサンセット・サウンド・スタジオに移動しています。Darling Nikkiについては、9月18日にコーダ部分のトラッキング、9月19日にはエディットがありました。最後の効果音を重ねる&逆再生の数十秒くらいの部分のレコーディングがされたようです。

逆回転のところは有名ですが、その部分の音楽(背景音?)を気にしていませんでした。Authentic Sound Effectsという効果音集を使っているそうです。本の中では、Vanity 6のWet DreamやSecond Comingでも効果音集が使われてると書いてあります。Second Comingはライブの始まりで使われたりするものとのこと。

The Timeでも効果音がよく入っていますが、同じような音源を使ってるのでしょうか。

Princess(Maya RudolphさんはSaturday Night Liveに出ていた方です)というプリンスのコピーバンドのライブの動画がプレイリストにありました。Darling Nikkiの逆回転部分を熱唱。

Darling Nikkiの音

Prince recorded ["Darling Nikki"] in his basement in Minneapolis. You can tell the sound of that one is pretty different. -- David Leonard

MONDAY, SEPTEMBER 19, 1983
Duane Tudahl PRINCE AND THE PURPLE RAIN ERA STUDIO SESSIONS: 1983 AND 1984

エンジニアのDavid Leonardさんによると、「プリンスは[ダーリン・ニッキーを]ミネアポリスの地下室で録音した。音がかなり違っているのが、よくわかるよ」ということです。

素人にはスタジオの違いなのかどうかわかりませんが、ボーカルはエコー気味(のびるようなエコーではなくて、こもっている感じ)でしょうか。ドラムも近くで聞こえるかもしれません。楽器の数が少ないせいかもしれませんが。

アルバム・パープルレインは、全体的に音が美しく拡がりつつ重なっている気がしますので、Darling Nikkiは、それとは違うかもしれないです。もう少し聴き込みたいと思います。

本の中には、宅録の様子が書かれていておもしろいです。録音ボタンを押したら、楽器のところまで、ばたばたとプリンスが走っていくので、いろんな音が録音されているらしいです。7月にきちんと読んでいなかったのか、内容をよく覚えていないのですが、この部分はとてもおもしろそうなので、また読み返したいと思います。

どうでもいいですが、私の一番好きな音は、3番が終わったところのシンバルです。これも地下室録音でしょうか。曲全体で、ギターをたっぷり聴けるのもいいです。

今回、何回もリピートして聴いていたら、2:57くらいに「キャー」という短い悲鳴みたいなのが入っているのに初めて気づきました。サスペンス的な悲鳴の短いものです。さんざんシャウトしたあとのこの叫びは、何なのでしょう。


https://princesongs.org/2021/06/18/darling-nikki/

https://en.apoplife.nl/prince-reaches-the-top-of-the-world-with-purple-rain-the-album-the-movie-and-the-tour/


読書会の動画

https://www.youtube.com/live/ofYruIv3oWY?si=N_tM3Mt4JRAK5LpE

読書会のプレイリスト

https://youtube.com/playlist?list=PL6YE_-qkWwSm_pRxbhhmdrd7_j82mFp0E&si=Cr0dahpWZ4hF-tnv

読書会のサイト

https://www.polishedsolid.com/what-did-prince-do-this-week/

https://bookclub.polishedsolid.com/

Duane Tudahlさんのサイト

https://www.duanetudahl.com/welcome

https://www.duanetudahl.com/prince-book


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