姉は妹の人生を左右する
小さい頃の姉は妹にとって神様だ
なんでも知ってるし、自信があるように見えるし、友達も大人びててかっこいい
服も化粧も全部知ってる。どこで遊ぶかも、誰と遊ぶかも、全部正解を知ってる。
なんてかっこいいんだ。うちのお姉ちゃんが世界で一番かっこいい。
ってまじで思っている。妹は。
少なくとも私はそうだった
でも私にとって世界の全てだったお姉ちゃんは、そのとき恐らく人生で一番苦しんでいた
近くにいる妹のことなんて目に入らないくらい、自分の生活で精一杯だった
いわゆる思春期というやつだ
姉は自分自身にイライラして、近くをうろつくバカな妹にもイライラした
バカな妹にいつもバカだと言い、お前はおかしい、常識がない、自分のこと大好きでしょ、人のこととかもっと考えたら?、目立ちたがりで変なやつ。とあしらった
妹はバカだから、お姉ちゃんが言うことが全てで、そのまま飲み込んだ。
私がバカだからいけないのか。
私がひとのこと考えられてないから、目立ちたがりで変なやつだから...
なるほど....お姉ちゃんはなんでも知っているな。
私は姉と違って目立ちたがりだった。
人前で話すのが好きで、歌と踊りが好きだった。
でも、そういうの好きっていうの、あんまりよく思われないのか、と私は学んだ。
自分では気づかないけど、周りのこと見えてないのか、私は自分のことしか考えてないのか、と学んだ
でも何をしてみても姉からの評価が変わることはなかった
姉からすると妹という生き物はどうでも良くて、小さい頃から変わらずずっとバカだと思ってる、ということを知ったのはかなり大きくなってからだった
なるほど。私にとっては世界の全てだった姉だけど、姉の世界では妹なんてほんの一部だったわけだ
ちょっと寂しいけど、なるほどたしかに。
ううむ。
姉に好かれようと頑張った日々は、無駄だったということだ。
そうわかった今でも、目立つことをするとき、自分の好きなことをするとき、頭の中で「バカじゃないの」って姉の声がすることがある。
でも、まあ、
色々傷ついたし傷つけたりもしたみたいだけど、いまだってうちのお姉ちゃんはまじでかっこいいんだよ。
ほんとに面白くて、頭が良くて、最高なんだよ。みんなに自慢してまわりたいくらいにね。
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