月がきれいとかいうアニメ

※このnoteはまだアニメを見ていない人向けですが、若干のネタバレがあるのでまったく情報なしで見たい方はご注意ください。また、キングオブコント2020のネタバレも若干含まれます。

『月がきれい』(つきがきれい、as the moon, so beautiful.)は、feel.制作による日本のテレビアニメ作品。2017年4月から6月まで放送された。
キャッチコピーは「わたしにとってそれは…まるで月あかり」。(Wikipediaより)

https://tsukigakirei.jp/

みなさんは月がきれいというアニメを知っているだろうか。

埼玉県川越市を舞台にした中学生の恋愛を描いたアニメで、それはもう甘酸っぱいったらない。2017年放送当時、あまりにもハマりすぎて聖地川越祭りで行われた監督と声優のトークショーを見に行ったほどだ。この前3年ぶりにまた全部見てどうしてもみんなにおすすめしたくなったのでこのnoteを書いた。

【あらすじ】
川越の中学校に通う小説家志望の安曇小太郎と陸上部の水野茜は、同じクラスになったのをきっかけにお互いを意識しはじめ・・・(以下ネタバレ)(Wikipediaより)

正直、恋愛ものの作品なんてエロゲくらいしか興味がない(エロゲは恋愛ものと呼んではいけない)自分が『月がきれい』にここまでハマったのは、他にはない「没入感」があったからだ。主要キャラがみんなめちゃくちゃ中学生で、終始「中学生ってこんなんだったな~」という気持ちになる。

特にすごいのが1話。家族でファミレスに行くと、偶然同じクラスの人も来ていて気まずい……なんてあるあるから始まり、そこからの中学生の自意識みたいなものがどんどん見え隠れして普通に恥ずかしくなる。

その他にも、倉庫から備品を出すときに制服についた汚れを女の子にはらってもらう感じとか(多分それだけでちょっと好きになってる)、女の子からのLINEが来ると電気の紐でボクシングを始めたり、とにかく「あ~~なんかわかる」って気持ちから、主人公・小太郎への感情移入が止まらなくなる。小説家志望の小太郎は、友達に小説を書いていることを話しているが、絶対に見せようとはしない。個人的にこの感じが一番刺さった。何かをやっていることを話したい気持ちと、でも見せるのは恥ずかしい中学生の自意識が、自分の中学時代の何かを刺激してしんどくなった。茜の方も、照れると「〇〇だし」みたいな中学生女子特有の喋り方になるのがめちゃくちゃ可愛い。

ただ、『月がきれい』は物凄いリアル路線という訳ではなくて、ここまでの丁寧な描写は「フィクションの中のリアルさ」を際立たせているだけだ。実際、クラスでも目立つ方じゃない文化部の男子が陸上部の可愛い女の子と……なんて現実じゃそうそう無い話を視聴者に納得させるには、細かいリアルな描写が必要不可欠なんじゃないだろうか。ここまで書いたリアルな中学生の描写が多いのも前半までで、後半からは恋愛模様が中心に描かれる。あくまでフィクションの恋愛話に奥行きを持たせるためのエッセンスと言えるだろう。

これは完全に持論だが、面白い作品はマクロ視点でフィクションを全面に押し出しても、ミクロ視点で丁寧なリアルさを感じさせるものが多い。代表的なのがガルパンで、女子高生が戦車に乗って戦うというありえない設定も、細かい戦車の描写がリアルなものだったりするから納得できるんだろうなと思う。また、先日のキングオブコント2020で空気階段のコント『霊媒師』も、ありえない設定を納得させられる面白さがあった。霊媒師がラジオの電波を受信するというめちゃくちゃな設定の中に「ネット配信(radiko)よりちょっと早い」というボケで一気になんか成立した感じがあった。『月がきれい』もそんな工夫が至ることにある。あとはシャニマスも日常の切り取り方とか情景の描き方の上手さが、フィクションを超えた何かを感じさせることがある。

かなり拡大解釈をしてフィクションに対する没入感みたいなことを書いてきたが、単純に中学時代の自分もクラスで目立つような人間じゃなかったから必要以上に応援しちゃうだけかもしれない。というか大部分そう。そういう人間が見るべき作品です。

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