どうしてBLが好きなのだろう

こんにちは、なんのんです。
何かを好きになるきっかけ、なぜ好きなのかは、何かを嫌いになる理由よりも漠然としていることが多い気がします。
BLが好きです。読書も漫画も好きですが、その中でも少しだけ特別なポジションにBLはあります。今までも、ぼんやり「どうしてBLが好きなのだろう」と考えたことは多々ありますが、記事することで、ちょっとは整理されたらいいな、ということで書いていこうと思います。

腐女子の血

私が腐女子として目覚めたきっかけ、それは母の存在です。母は腐女子で、アニメを見ていたり漫画を読んでいたり、私の前にBLは持ち込まないものの、健全なオタク趣味は隠さない人でした。
そうした土壌で育った私は、やがて昔自分が見ていたアニメ、読んでいた漫画だけでなく、母が見ていたものも調べ始め……いつのまにか腐女子になっていました。
私のBLはこの作品から!というよりは好きなもの、気になっていたものを追求したらPixivやニコニコ動画に辿り着き、オタクであり腐女子になった、という感じですね。

たとえ母が腐女子ではなかったとしても、ルートが違うだけで結局私はBLに出会い、好きになったんじゃないかな、と思っています。
ただ、父もゲーム好きですし、両親に趣味を否定されない環境で育つことができたのは凄く幸運なことだと思います。
純粋にBLを楽しめる今に乾杯です🥂

少女漫画で土台がつくられていた

こっそりネット時代の中学生期から脱した、自由にネット時代到来の高校入学あたりが、私の本格的なオタク・腐女子形成時期ですが、小・中学生の時に読んでいた少女漫画で、すでに土台はつくられていました。

これは、分かる人も多いかもしれませんが、少女漫画によっては、BLに繋がる要素があったり、BLともとれる表現があったりします。
後で詳しく述べますが、ざっくり言いますと、少女漫画とBLには通じるものがあり、だからこそBL要素と少女漫画は相性がいいのだと考えています。

私が読んでいた少女漫画でいうと、例えば『きらりん☆レボリューション』では、主人公の月島きらりのライバルとして、天川いずみ(本名:和泉氷太郎)という男の子が出てきます。きらりちゃんの好きな相手、宙人くんのことが好きで、女性アイドルとして追いかけてきた訳ですが、男だとバレてからは、きらりちゃんには恋敵だと認識されなくなる若干の悲しさも感じられる人物です。
また『オレ様キングダム』では主人公を取り巻くイケメン同士で事故ちゅーしてしまうシーンがありました。
他にも『カードキャプターさくら』の主人公の兄である桃矢と、その親友である雪兎の関係や、『BANANA FISH』のアッシュと英二の関係のように、深い友情を愛だとも捉えられるような関係も、少女漫画の中にはあります。
これら以外にも、沢山のBL要素が様々な少女漫画に含まれています。

ただ、少女漫画におけるBLって「この2人もしかして…」とか「この人もしかして…」とかの匂わせ(はっきりと断言しない)系と、コメディ・ハプニング・キャラ付け系が大半だと思います。
面白いことに、「男が男を好きである」ということに対して、あまりシリアスには受け止めないんです。「なんだってー!?そっかー!」のノリです。ギャグ要因的な立ち位置だったりもします。
私はそんな、がっつり触れられていないサイドキャラクターたちのBL妄想を繰り広げるのが大好きです。

なぜBLなのか

アニメ、漫画、ドラマや小説の男女の関係も、勿論好きです。
少女漫画を読みながら、自分を主人公に重ねたり、私なら〇〇君の方を選ぶのに!と夢女子的な妄想をしたり、この2人くっつかないかな…と主人公の友達の恋愛模様を期待したりもします。
素敵なものは素敵だし、好きな関係性は、それが男女の間にあるか男同士、女同士の間にあるか、人とアンドロイドの間にあるか、とかは関係ないんですよね。

じゃあBL特有の、このトキメキは何だろうってなるじゃないですか。何が違うのか?って考えてみました。

BL、腐女子向け、といっても色々で、単なる男同士A×Bの恋愛もあれば、二次創作などで元は男である受けBを女性に改変したA×B♀や、どちらも女体化したA♀×B♀といったパターンも見受けられます。
それならBLである必要性は何なのか、と思いますが、結局素体が男性であることが重要なのではないでしょうか。作品にもよりますが、女性の形をとっていても、どこか男性の名残は捨てきれないものです。だって、キャラクターとしての性格や趣向、精神的な軸は大きく変わりませんからね。

ということで、ポイントその1は「自分との距離」です。よく「壁になりたい」とか言いますが、そういう事ではないでしょうか。BLでは男性が中心ですから、最悪女性は出てこなくてもいいですよね。この「蚊帳の外」感が大事な気がするんです。
BL世界の中で、私たちは空気になって恋愛模様を眺め、攻め目線で受けの可愛さなどの魅力を感じたり、受け目線で攻めのカッコよさなどの魅力を感じたり、好きなように見て、好きなように感じることができます。空気ではなく同じ学校のモブとしてでも、彼らが飼っているペットとしてでも、何にでもなれます。

この距離は、ポイントその2「非現実感」にもつながっています。人間としての感情は共通かもしれませんが、男性と女性では重きを置く点や、視点など、感じ方や考え方の違いがあります。私がBLが好きなのって、男性が「女子校っていいな」と思うように、「男子校っていいな」と夢を見ているようなものかもしれません。自分との距離がある「男性同士の関係」に夢を見る、まるで非現実的な話も受け入れられやすい土壌があるんです、多分。よく知らないからこそ何でも想像できてしまうし、何でもできてしまうのです。

ポイントその3としては、「葛藤や背徳感」です。「クラスメイトの〇〇君が好きだ」という感情を、女の子が抱いていても十分甘酸っぱいし切ないのに、男の子が抱いていたら、同じくらいか、それ以上に悩むし辛い、みたいな+αが男同士というだけで含まれてきます。そうした「葛藤や背徳感」を何もせずとも前提として持っているのです。

物語として男女の恋愛、百合も楽しむことはできます。『やがて君になる』のアニメを観て、すごく絵が綺麗で感動したり、登場人物がそれぞれどうなっていくのか気になったり、『恋はつづくよどこまでも』を観て、ひたすらキュンキュンしたりもします。
ただ、どうしても現実の自分がしゃしゃり出てくるんです。女子同士のキャッキャうふふに、現実にはこれは無いな、と心のどこかで思ってしまうし、「女として見る世界」を知っているせいで、女性に自分の価値観とか常識を求めてしまうことがあります。無意識に「自分だったら…」「自分がされたら無理…」とか考えてしまうと、完全に物語に入り込んで楽しむことが難しくなります。虚構なのにある程度のリアルを要求してしまうんですね。
それがなんと!BLになるだけで「現実的じゃない」ことも受け入れられるよう緩和されるのです。例えば『タクミくんシリーズ』では、全寮制男子高校が舞台なのですが、でてくる人物ほとんどが男同士でくっつきます。優秀な遺伝子が途絶えてしまうよ…とは思いつつ、「ありえないんですけど!」と萎えることはありません。
都合のいい頭です、というか都合がいいから好きなのかもしれません。

BLはファンタジー

どんな作品においても、納得がいく話の流れ、面白さがあれば「良い」と感じます。
「BLはファンタジー」という言葉を聞いたことがあります。男同士がキスしようが、えっちしようが、読み手の私が気持ち的に寄り添うことはあっても、身体的に理解することはできません。女の子同士がちゅっちゅしているのを見るのも好きですが、やはり自分と切り離して考える必要があります。BLは私に生々しいものを生々しく感じさせない魔法をかけています。
BLは私にとって「納得がいく」ハードルが他に比べると極めて低いジャンルなのだと思います。おそらく自我が関与しにくいが、共感力や切なさなどの感情を揺さぶる力は豊富だからだと思っています。

BL世界では、大体女性は傷つかないですし、現実のことも忘れて没入しやすいです。
私は、この自由で楽園のようなBLが好きなのだと分かりました。

それでは、また(*´-`)/