鬼が笑う暗号通貨ウォレット(2 of 3)

つづき

年明けに書こうと思っていたら節分でした。…ええと…旧正月ですから大丈夫問題ない。


どこまで書いたのかというと…ああそうかスマホの形が変わるってところまででした。

暗号通貨のウォレットは、スマホから専用のガジェットに移っていきます。ほぼ間違いありません。前回書いたように、UIの観点もありますし、セキュリティの観点もあります。


さて、視点を変え、「国家はどう動くか」という観点から暗号通貨ウォレットを考えてみます。

国家というのは、極論すれば徴税装置です。税金を効率的に徴収し、脱税を撲滅したい。そういう存在です。

国家の暗号通貨に対する反応は、既に二分しているようですね。

暗号通貨は徴税の妨げになるので全面禁止という国が出てきている一方、なるべく規制せず代わりにがっちり徴税しようという国もある。今のところ日本は、どちらかというと後者の側でしょう。

さて、現存する暗号通貨のほとんどは、匿名性が高いようでいて、実はありません。アドレスと個人が結びついてしまうと高いレベルでの透明性が実現されます。国家としては、お金の流れが丸裸になり、これ以上無いくらいに好都合な道具にもなりえます。

なので、このまま暗号通貨が資産価値を保った場合で禁止をしなかった場合、国家は、アドレスと個人を紐付けようとするはずです。

紐付けはさほど難しくはありません。マイナンバーカードの後継カードに、BIP32 マスター・シードを含める、という手が考えられます。

スマホのウォレットやハードウェア・ウォレットを使い始めるときに 12〜24 個の英単語を記録しますが、あの単語列と一対一に対応するのが BIP32 マスター・シードです。秘密鍵の鍵束だと思えば大体あっています。

突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、技術的に可能なだけではありません。ほぼ同じものが、既にマイナンバーカードには記録されています。

具体的には、電子署名用の証明書と2048bitのRSA秘密鍵がそれに当たります。お役所への電子申請以外で使う機会がなく、殆どの方は知らないかもしれません。もっと認知が進めば、銀行の手続きなど一般の契約事にも使えるはずなのに。印鑑文化から脱却できないでいる。モッタイナイ話です。

…話が脇に逸れました。

話を元に戻すと、国家が国民にマスター・シードを割り振り、公開鍵は国税当局が把握する。こうすると、暗号通貨の流れは筒抜けで、ものすごく効率的に徴税額を算出できます。

やらないはずがないです。

おそらく導入時には、そのマスター・シードを使った暗号通貨取引には一定額の控除が得られる、などの優遇税制を敷いたりするでしょう。e-Tax 導入時も住基カード発行費用やカードリーダ購入金額相当の控除が得られましたから。

つづく


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