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アニメ「ガールズバンドクライ」第二話感想

前回第一話を観て、次の様な二話以降の推測を含む「評論」をしたので、一応その二話を観ての感想を書いておこう

ここで言っていた「ウソ」とは、ガールズバンドクライが意図的に「主人公仁菜を普通の少女として描いていること」を指している
そしてその目的が利益的な事ではとも指摘した
それが実際に、二話ではどう描かれているか

・仁菜の歌声は桃香の前で披露される
・それは誰が聴いても異常な程凄い声の様に思える
・しかし桃香は「良い声」とは言うが、特に評価するのは仁菜の内面のみで、その表現は「仁菜を普通の少女として描く」範疇に収まるものだった

この描写を観て「このアニメ凄いな!」と改めて思い直した
やはり花田十輝は只者では無いね

仁菜の歌は、BECKのコユキ級のボーカルの天才なのは間違いない
しかし、その歌を今のところ唯一間近で聴き、正しく評価すべき立場に居る桃香は、その天才性を殊更仁菜には伝えない
この構図が物語として凄く練られている

伝えない理由は二つ考えられる

一つはメタ的な理由
演じてるキャストの容姿や能力が凄くても、演じてる世界の中ではごく普通なこととして描かれるのは演劇の世界ではよくあること
この仁菜=理名の歌の天才性を最後まで明確にしなくても、演劇的なお約束として認められる範疇だろう
作り手が視聴者にウソをついていることにはなるが

そしてもう一つの理由は登場人物の矜持として
桃香は仁菜に対して殊更歌の天才性を指摘してバンドに促す事はせず、あくまで仁菜の心に寄り添って、仁菜の面倒くさい心の解決法としてバンドへと誘う
そこにはバンドマン桃香の矜持として、バンド=ロックは才能でやるものでは無く心でやるものと言う考えがあるとしたら、どんなに仁菜の天才性を認識していたとしても仁菜に対して伝えない事はあり得るかもしれない
もしそうだとすると、これは視聴者へのウソにはならない
ウソをついているのは登場人物の桃香であり、それは物語の中の出来事だから
「ガールズバンドクライ」にウソは存在するが、それは物語としてのウソとなる(複雑)

いずれにせよ「ガールズバンドクライ」のウソは視聴者に対してある程度誠実な範疇のウソと思えるので、その目的が少しくらい利益的だとしても気にならないなと思ってしまった

とにかく、この第二話では主人公仁菜の内面を丁寧に描いて、そこにバンドをする意味をちゃんと持たせている
物語の動機としてとても強いモノを提示してくれたので、物語として俄然面白くなった

こりゃトゲトゲ全部揃えないとダメだな(陥落)

花田十輝にはしてやられたよ

ところで、桃香は仁菜の歌の天才性を実際どう捉えているのだろうか
つまり、天才だと認識していないのか、天才だと認識しているが伝えてないのか
それは桃香の今回の行動から推測できる

・一時期バンドのフロントマンとして立っていた程の桃香が、自身はギターに専念し仁菜にボーカルとしてフロントに立つ事を求めている
・既に次のバンドとしてのメンバー集めをしていてそのメンバーを仁菜に紹介しようとしている

これはどう考えても、桃香は仁菜に凄い才能があると認識しているとしか思えない
そう考えると、桃香が里帰りする際も、後ろ髪引かれてる様な行動だった様に思え、それは仁菜の天才性をそのままにしておくことがどうしても出来なかった…という推測も成り立つ

つまりこの物語は
精神的な問題を抱えた仁菜が桃香に救われる話
という側面と
一度は諦めた桃香が天才仁菜に救われる話
という二側面を持った話になっている
二つ目は隠された物語として展開するのかもしれないが

まだまだ語られて無い部分も多いので、実際どう展開するのかは分からないけれども、滅茶苦茶面白い物語なのは間違い無い
これからも楽しんで観ていきたい

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