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ニッチなサービスを世に出す過程

弊社、Cross the World株式会社は、現在、「リーガル部門体制構築サービス」という非常にニッチなサービス”i-Ready”を提供しています。

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サービス化のきっかけ

代表の私自身が、上場企業の法務部門に合わせて6年勤務しており、「法務という業務」が当たり前に必要とされ、その専門スキルを高めた同僚や先輩が大勢いる環境にいたわけですが、30歳の時に、無謀にも無計画に退職して社会に出てみた時に、「法務部門」を社内に設置して人件費をかけられる企業など、日本の400万社あると言われる企業数からしたら、ほんの一握りの少数派なのだ、と気づいたのです。

上場企業数は、400万社中の4000社。未上場でも上場クラスの大企業に分類されるのは12,000社。全体の0.3%しか存在しない。

だとすると、日本社会全体の、99.7%は、「法務部門」を設置するほどの規模ではない可能性が考えられる。もちろん、業種・業態によっては、訴訟やM&Aが日常茶飯事で、「法律事件/法律事件に関する法律事務」の処理のために、内製化した自前の法務スタッフがいないと回らない、そこに人件費を投入したとしても、十分に会社の事業を回すに必要なコストだ、という企業も、規模にかかわらず存在するであろう。

そうはいっても、社会に何かしらサービスを提供している企業たちが、全くもってリーガルチェックや法務的な側面を気にしなくていいはずはなく、社会との設置面として、法律違反がないかどうか、取引相手との関係を円滑にするための契約書面は揃っているか、などはどんな規模であれ必要なはず。

ならば、法務体制が整っていないが、かといって法務部員を一人雇用するほどの業務量はなく、かといって、都度、顧問弁護士に相談するほどでもない、「法務部門領域」が放置されている企業は、少なく見積もっても200万社ほどは存在するのではないか、というのが最初の仮説。

果たして、この仮説は、三間個人の潜入調査?により、60年ほど社歴のある数百億の売上規模のある企業と、600人ほどのスタッフを抱えた数十億の売上規模のNPOでも正しいことが証明される。

「弁護士に頼むほどでもない業務」「弁護士法でいうところの法律事件に関する法律事務以外の業務」が企業には埋まって放置されている、ということが仮説ではなく実態である、と確認されたのだ。

i-Readyサービスで行うことは以下の通り。
・社内のリーガルチェック依頼窓口の設置
・法律相談は直接顧問弁護士へ行うフローの確立
・社内規程遵守への啓蒙活動
・理事会/取締役会/総会の準備&運営
・コンプライアンス研修資料作成&実施

こういったところは、弁護士法で弁護士の専売特許となっている「法律事件に関する法律事務」の外枠に入るところで、顧問弁護士はやりたがらない領域なのだ。

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この純粋な「法律事件に関する法律事務」ではないが、「法律周りの業務」を行うには、リーガルの基礎知識がないと、どこからどこが「弁護士に振るべき法律業務/法律事件」であるか、という判断がつかない。つまり、ただの素人では難しくて、それなりにこの領域の経験がないと務まらないのが厄介なのだ。

弁護士としても、純粋な「法律案件(=法律業務/法律事件)」は資格を取得するほどに勉強しているわけで得意なわけだが、どうしたら社内の人間に、法的リスクの認知をしてもらえるかや、社内フローの構築、などは専門ではないのだ。

ということで、「法律事件にかかる法律事務」と「経営/組織運営」の溝にある間の業務を担い、両者に橋をかけるのが、我々Cross the Worldであり、i-Ready(いつでも準備OK!という意味を込めた)サービスなのだ。

弁護士法に抵触しないのかいなかの議論

こういった「リーガル領域」をサービスにする場合、弁護士法72条を慎重に吟味する必要がある。この存在はもちろん法務関係者として認知していたからこそ、このサービス化にずっと躊躇していたのだ。

弁護士法72条とは
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの斡旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。

だが、今回、仮説が証明された一社において、もともとその企業の顧問弁護士の方からも、弊社Cross the Worldのサービスは、「法務業務の外側」の部分を行うのみであり、法務業務は企業と弁護士事務所が直接顧問契約するところからも、弁護士法には抵触しない旨の見解をいただいている。

こういったことから、i-Readyサービスを世に提供することに踏み切ったのである。

リーガルテックと弁護士法72条

この法務周りの分野は、近年、ようやく、IT化が進んできて、「リーガルテック」という言葉をよく聞くようになったが、この弁護士法72条の解釈により、日本のみならず世界でも、「リーガル分野の改革」は違法性があるのではと、なかなかに一筋縄では行かない領域となっている。

しかし、10年近く法務部門という分野に浸かってきて思うことは、この分野の時代に逆行したアナログさ加減だ。法務部員の個人技を磨くようなところなど、属人的すぎるスキル構築のところもさておき、弁護士法72条の存在によるのかいなか、時代錯誤なとてつもなく古臭いやり方がまかりとっている世界だと常々感じてきた。ペーパーレスの時代に、契約書の製本、捺印、保管作業など最たる例だったが、ようやく、Cloudsignを始めとする「クラウド上での契約締結」が広がってきた。さらには、自動で契約書をチェックしてくれるAIツールも広がってきた。いまだに弁護士法72条がタンコブのようになっているが、時代ととも、この条項の解釈自体が変わっていくのではないかと思う。

こうした法務業務のIT化は、私個人としても、Cross社としても、本当に願ったり叶ったり、よくぞやってくれた、と思う業界変遷である。

こういったツール導入を含めて、i-Readyサービスは、人+ITツールで、さらに法務部門のコストを下げるにふさわしい、相性の良いサービスになるのではないかと思っている。だって、みんな、法務部門になんてそんなお金かけられないでしょう??

照らしたい人たちの存在

さらに、i-Readyが解決するのは、「法務経験者」のスキル活用、である。過去に法務部門や法律事務所で勤務経験があって、どこからどこが弁護士に頼むべきで、法務周りの事務ではあるものの、弁護士法にいうところの弁護士の専売である法律事務ではない業務経験者は、結構いる。

かつては従事していたが、激務で結婚を期に退職した、出産を期にフルコミットはできない、などの女性の優秀な「法務関連従事者」たちに、スポットでそのスキルを使ってもらえる機会を作りたい、というのもi-Readyが目指しているところだ。

一般人より法的なセンスがあって、かといって弁護士以上に、社内の事情に親身になって、社内調整などを含む弁護士がやりたがらない領域の業務をこなしてくれる「法務部員」のアウトソースにより、リーガルリスク対策コストを最適化する、i-Ready。

ぜひ、記憶に留めておいていただけたら幸いだ。

Written by 三間瞳

Cross the World株式会社
https://www.crosstheworld.info/

リーガル部門体制構築サービス「i-Ready」資料請求はこちらから
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0522ebff619482



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