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アーティスト滞在日誌12(松橋和也)

2023年2月

12月のリサーチ滞在で、滞在テーマを「無関係」としようと決めた松橋さん。
アーティストが滞在する部屋と、デイサービスの活動が行われているメインホールの距離感から、童話の「つるにょうぼう」をイメージしたことから、「鶴の恩返しの物語を解釈し直し、自分が主人公となって楽らくで再現する」という滞在の仕方を試してみることにしました。

職員に向けて、自分が何をしたいかの紹介のために、プリントを作ります。
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ここにいるあいだ、お話を書いてみようと思っています。でも、ゼロからお話を作るのではなく、もうすでにあるお話を、替え歌みたいにして作りかえるやり方でやってみます。
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滞在中は、宇宙人バージョンの鶴の恩返しを台本と捉えて、それに合わせた行動を1日の中でしていきます。

壁に貼られた滞在スケジュールは、物語の進行とも重なる

逆に、滞在中に起きた出来事は、物語へと組み入れられていきました。

さまざまな利用者さんと話す中の話題が、物語に影響していく
利用者さんと子供の名前の話をしたことから着想し、名もなき主人公が名前をもらうシーンを作る
日々レジデントスペースの壁に物語が貼られ、更新されていく。

さらに、楽らくの中庭が円形になっていてミステリーサークルを彷彿とさせることから、台本となる物語は鶴の恩返しのストーリーをベースにしつつも、松橋さんが再現する主人公役は、UFOで宇宙に帰りたい宇宙人とすることにしました。

中庭での準備
宇宙人の影絵
UFOを呼ぼうとし続ける松橋さんを、室内から見守る
「無関係」というテーマから、アーティストと利用者さんの関係と、モノと人との関係の共通点を考える松橋さん。楽らくにある様々なモノたちを撮影して記録していった。
デイサービスの活動中に、モニターで前日の同じ場所の様子を撮影した映像を流してみることにした
利用者さんと同席しながら休む
レジデントスペースのガラス扉を使って、鶴の恩返しの場面を再現する
デイサービス楽らくの帰りの会では毎日「北国の春」に合わせて体操をしているが、滞在最終日のこの日は、宇宙人の姿を見せながら、松橋さんがお別れの体操をした。
「あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな」
後日制作された、滞在記録と物語が綴られた冊子
「鶴/UFO/ダイソー/杖/ルンバ/体操」


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