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『乃木オタ回顧録〜デビュー10周年を迎えるにあたって』#28

2015年秋〜乃木坂46と舞台演劇

2015年は乃木坂46にとって舞台演劇が大きな影響を及ぼした年になった。「真夏の全国ツアー2015」終了からひと月、10月1日から12日までAiiA2.5 theater Tokyoで上演された「すべての犬は天国へ行く」は乃木坂46のメンバーにとって演劇に対する意識の革新になったのではないかと思う。
ケラリーノ・サンドロビッチの戯曲で2001年に『ナイロン100℃』によって初演が行われたこの作品は西部開拓時代の居酒屋兼娼館を舞台に女だけになった町の狂気の物語。
ネルケプランニングによる制作で乃木坂主体ではあるが演者は乃木坂メンバーだけではなく東風万智子、猫背椿、柿丸美智恵など演劇界でも定評のある俳優たちが名を連ねている。

2012年より乃木坂独自で上演して来た「16人のプリンシパル」シリーズで演技=苦手もしくは恐怖と意識していたメンバーが多かったが2015年の舞台演劇への進出拡大で俳優を目指すメンバーが格段に増えた気がする。

遡ると私が「プリンシパル」意外で乃木坂メンバーが出演する舞台を観に行くようになったのは2014年秋頃からだろうか。
2014年10月2日より天王洲銀河劇場で上演された生田絵梨花主演「虹のプレリュード」が初めてだったようだ。
9thシングル「夏のFree&Easy」期間休業していた生田絵梨花復帰第一弾の外仕事としてスポーツ誌等で大々的に発表された記憶がある。いくちゃんのミュージカル界への第一歩だ。
原作は手塚治虫の漫画で、19世紀のポーランドが舞台。ロシア帝国軍が侵攻する中ワルシャワ音楽学院に兄になりすまして入学した少女ルイズの物語。
この舞台でいくちゃんがショパンの「革命」をピアノで演奏する場面もある。

青山円形劇場前に掲示されていたポスター

続いて2014年10月青山円形劇場で上演された「生きてるものはいないのか」に足を運んだ。主演は川口春奈でメンバーの若月佑美1人が参加している舞台だ。

回転する円形の舞台で物語は展開する。
市中の人々が原因不明の死を遂げて舞台上はどんどん死体で埋まっていく。そして残される川口春奈演じる主人公、そんな話だったと記憶している。
若月佑美は死んでいく人々の中の1人。物語中盤で倒れた彼女はラストまで舞台上で死体を演じる。
割と狭い円形のステージを囲むようにすり鉢状に客席があり今思えばだいぶ間近で演者を見られたなと思う。

サンシャイン劇場前に掲示されていたポスター

同じく2014年の10月25日からサンシャイン劇場で上演されたスーパーエキセントリックシアターの「Mr.カミナリ」には桜井玲香と衛藤美彩がゲストダブルキャストとして客演している。

自分は11月1日の衛藤美彩の回を観に行っている。
ミュージカルアクションコメディーと銘打っているだけあり歌あり笑いありとバラエティーに富んだ舞台だった。

劇場ロビーに掲示されているキャスト表とポスター
劇場ロビーの掲示

2015年6月、AiiAシアターにて公演された「じょしらく」は11thシングル「命は美しい」の十福神以外の乃木坂46メンバーでオーディションを開催され選ばれたキャストによる舞台。いわば選抜、アンダー混合のメンバーで構成された出演者である。久米田康二原作、ヤス作画の漫画原作でその前口上は
「この漫画は女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく漫画です。」
とあるように5人の女性落語家の何気ない日常を描いている。

自分はライブビューイングのカメラが入った6月25日チーム「ご」の回を観に行っている。選抜に定着し始めた衛藤美彩となかなか選抜に復帰できずに苦しんでいた中元日芽香の劇中と現実の交錯に勝手に感動したり、アンダーで長く研鑽を重ねて人気認知度が急上昇した、橋本奈々未の妹的存在齋藤飛鳥の演技を観たいがためにチーム「ご」を楽しみに劇場に足を運んだ。
舞台「じょしらく」に関して言えば落語家と言う職業に重ねてアイドルである彼女たちを投影したり、その歌唱する楽曲がいちいち良かったりとか語ればキリがない。

そして「すべての犬は天国へ行く」の上演に至る。この舞台でそれまで演劇のイメージがなかったメンバー、生駒里奈、伊藤万理華、斉藤優里、新内眞衣、松村沙友理などが急激に舞台演劇への志向を表出することになる。生駒里奈は昨年から今年(2021年)にかけて数本の舞台に立て続けに立っている…。「プリンシパル」初回のゲネプロの記者会見で半泣きで逃げ出した女の子と同一人物とは思えぬ活躍ぶりだ。「人は変われる」を乃木坂46で体現した1人だ!

さらに2015年内には11月12日から赤坂ACTシアターで上演された生田絵梨花主演ミュージカル「リボンの騎士」で結ぶ。

赤坂ACTシアター

このように2015年は予定されていた「16人のプリンシパル」を休止してでも怒涛のように乃木坂メンバーが出演する本格的な舞台演劇が立て続けに上演されあらゆるメンバーが舞台に駆り立てられた。
以後、「嫌われ松子の一生」「犬夜叉」「あさひなぐ」「三人姉妹」など乃木坂メンバー出演の舞台は途絶える事なく上演されることになった。

そのほとんどの舞台がネルケプランニングのプロデュースによるもので舞台演劇が出来るアイドルとして乃木坂46を広めた功績は大きい。

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