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#68 衝動に駆られ/くろさわかな

【往復書簡 #68 のやりとり】
月曜日:及川恵子〈三度目の衝撃〉
水曜着:泖〈追われる仏〉
金曜日:くろさわかな〈いらないのにほしいものたち〉

いらないのにほしいものたち

最近話題の「イカゲーム」。
わたしはおとといから見始めたのですが、見入ってしまって、昨日シーズン1を観終えてしまったところです。ネットフリックスで上位人気も納得でした。

話自体は決して斬新というわけではなく、見たことがある展開だな…というシーンも多々ありますが、演出が派手で見ていて飽きない。パソコンのディスプレイが血で染まってしまうのではというくらいびちゃびちゃと血が飛んでくるのには目を背けてしまいましたが。それに俳優さんたちの演技力も素晴らしくて、臨場感があるんですよね。わたしが特に好きなのはセビョク役のチョン・ホヨン…。調べたら演技初ということで倍驚いているところです。

ドラマ内では一切見れないかわいい笑顔…。これを見ると「ああ、フィクションで本当によかった」と安心します。

ところで、イカゲームでは生き残るためにはゲームをクリアしなければなりません。そのゲームのひとつが「型抜き」です。

型抜き。昔、お祭りの片隅で何度かチャレンジしたことがありますが、一度もクリアできたことはありませんでした。わたしがイカゲームに参加したら、「型抜き」の段階で脱落間違いなしでしょう。そう思ったら、「練習しなくちゃいけないかも」という謎の衝動にかられ、インターネットで「型抜き 購入」と検索していました。

やさしいタイプはくびれがちょっと太い。なんだかできそうな気がします。
だけど100枚……100枚かあ…。とりあえずカートに入れた後、購入一歩手前でなんとかこらえているところです。

それにしても、縁日グッズってどうしてこうわくわくするんでしょうか。
型抜きを見ているうちに続々と出てくる、「いらないのにほしい」ものたち。

ビニールを膨らませたなにか。

ビニールでできた剣は鉄板ですが、今は魔女のほうきまであるんですね。い…いらねー!でもほしー!

無意味に光るなにか。

縁日では、光るなにかと風船は法外な値段設定で親泣かせです。光るわたがしは、きっと1000円でしょうね。

最後はたくさんすくってきて片付けにこまるやつ。

どれもこれも、絶対いらない。うんちくんスーパーボールが100個家にあったら気が狂いそうです。だけど欲しい。とくに縁日なんてとんとお目にかかれなくなってしまったからなおさら、この不要なものたちが恋しい。とりあえず型抜きと同じようにカートに入れて、衝動的欲求をごまかしています。

いつかなにかで出店できることがあれば、このカートに入れた諸々を購入したいです。この大量のいらないものたち、一度は手に入れてみたい。そしてそれを賞品にして、誰かが一生懸命なにかに挑戦する様を見たい。結果、このどうしようもない賞品を手に入れて「いらねー!」と笑う顔が見たい。

そのためにはやっぱり型抜きを出店しなくてはなりませんね。
フードをかぶって、あやしいマスクをつけて、チャレンジャーには番号を付与して、豚の大きな透明貯金箱の中に大量のスーパーボールを入れて、ね。
前々回で泖さんがかいていた、「ドキュメンタリー映画に特化したお祭りと音楽祭を合体したイベント」が開催される際には、ぜひ出店させてください。ご検討、よろしくおねがいします。


くろさわかな

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