救急医療体制 P218

A 救急業務の沿革

・消防法の救急業務の定義:「傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うこと」

・救急業務に関わる沿革抜粋
■1991年4月:除細動、包括指示,救急救命士法が制定
■2004年7月:気管挿管
■2006年4月:薬剤投与
■2009年3月:エピペン
■2011年8月:ビデオ喉頭鏡
■2014年4月:心肺停止前の重度傷病者に対して
①静脈路確保および輸液
②血糖測定および低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与
B 救急医療を構成する体制

救急医療体制

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

C 病院前救護体制
1 応急救護体制

・応急救護体制:救急の現場に居合わせた市民などによる救急蘇生法などの実施体制

・応急救護体制の整備の中心:市民に対する救急蘇生法などの講習の実施と市中への自動体外式除細動器(AED)の設置

①救命の連鎖

・救命の連鎖:傷病者の命を救い社会復帰させるために必要な一連の為

・4つの要素によって構成
①心停止の予防②心停止の早期認識と通報③一次救命処置④二次救命処置と心拍再開後の集中治療

救命の連鎖

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

②救命の連鎖における要素

心停止の予防

・心停止の予防は,心停止や呼吸停止となる可能性のある傷病者を未然に防ぐことである

・小児:窒息や溺水,交通事故などによる不慮の事故を防止
・成人:急性冠症候群や脳卒中発症時などの初期症状を早期に認識し,容態が悪化する前に医療機関で治療を開始することが重要

心停止の早期認識と通報

・心肺機能停止状態の傷病者に対しては:その場に居合わせた者(バイスタンダー)による早期の認識が重要

・直ちに人を集め,119番に通報することが重要

・通信指令室:救急隊に出動指令を下すとともに,通報者に対して一次救命処置の口頭指導を行う

一次救命処置

・心停止などに遭遇した者(バイスタンダー)は,一次救命処置(AEDの使用を含む心肺蘇生)を開始し,救急隊が到着するまで継続することが望まれる

二次救命処置と心拍再開後の集中治療

・現場に到着した救急隊は心肺蘇生などを引き継ぐ

・救急救命士は,必要があれば医師の具体的指示の下に薬剤投与や器具を用いた気道確保を行いつつ,迅速に医療機関へ搬送する

・医療機関到着までに心拍が再開していなければ,医師が二次救命処置を引き継ぐが,心拍の再開が認められれば,脳保護を含めた集中治療が重要となる

③市民による一次救命処置

市民が行う一次救命処置の意義とその現状

・応急処置
■止血
■異物除去
■体位管理など
・一次救命処置
■心肺蘇生
■AED
・市民の救急医療への参加が重要視されるのは,とくに心肺停止状態の傷病者に対してである

・何よりも心肺停止の目撃者であるバイスタンダーによる心肺蘇生(バイスタンダーCPR)とPAD(市民による電気ショック)が重要

・119番通報の覚知から現場に到着するまでに要する時間の全国平均は8分を超えており,この間に心肺蘇生(CPR)が行われないと,傷病者の脳への障害は回復困難な状態になる

応急手当講習の体制

・消防機関が行う応急手当講習:「普通救命講習」,普通救命講習に小児・乳児の心肺蘇生法や外傷の応急手当,搬送法などを加えた「上級救命講習」,一般市民により広く応急手当を修得してもらうために,受講時間を短縮した「救命入門コース」がある

消防機関が行う応急手当の普及にかかわる講習

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

それぞれ違いを理解しとくのじゃよ

・市民教育:これらの応急手当に加え,救急要請が必要な疾患の症候や不慮の事故予防対策などについて予防啓発が行われている
■心筋梗塞:胸痛、胸部重苦しさ、冷汗
■脳卒中:頭痛や麻痺、呂律がまわらない
■不慮の事故防止:小児の窒息や火傷
2 救急搬送体制

・救急搬送体制:傷病者を迅速に医療機関などに搬送する仕組み
■中心は,消防機関によって行われる救急自動車や消防防災ヘリコプターによる救急業務
■そのほかにも,ドクターカー・ドクターヘリ,海上保安庁による海難救助,自衛隊による離島からの搬送なども救急搬送体制の一部を担う

①救急隊が行う応急処置と救急救命処置

・救急搬送途上:傷病者の状態を悪化させず,安定化を図るためには迅速・的確な観察や処置が必要

・救急隊員が行う処置:応急処置と救急救命処置がある

応急処置
・応急処置
■救急科において250時間以上の教育を受けた救急隊員が行う処置
■傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間に,傷病者の状態が応急処置を施さなければ生命が危険であり,またはその症状が悪化するおそれがある場合に行う応急的な処置
救急救命処置
・救急救命処置
■救急救命士が行う処置
■症状が著しく悪化するおそれがあり,またはその生命が危険な状態にある傷病者が搬送されるまでの間に,気道の確保,心拍の回復その他の処置であって,重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し,またはその生命の危険を回避するために緊急に必要なもの・救急救命士の資格をもった救急隊員が応急処置を行った場合
■すべて救急救命処置となる
■救急救命士法に基づいた救急救命処置録の記載が課せられる・特定行為:医師の具体的指示の下に行う救急救命処置

②特定行為の種類

特定行為とは,救急救命処置のうち以下のもの

心肺機能停止状態の傷病者に対する特定行為
・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液
・アドレナリンの投与
・食道閉鎖式エアウエイ、ラリンゲアルマスクまたは気管内チューブによる気道確保
心肺機能停止前の重度傷病者に対する特定行為
・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保および輸液
・低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与

ここはとくに必須よ。言うまでもないわ

③特定行為の要件

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