死 P194

A 死の概念

・何をもって人の死とするか,生と死の境界はどこかなど,厳密な死の定義や死の判定は,必ずしも明確でない

・心臓死:心肺機能が不可逆的に停止した状態

・脳死:脳機能が不可逆的に停止した状態

・いわゆる「明らかな死」を除けば,死の判定は,医師によってなされる

1 心臓死

・心臓死:心肺機能が不可逆的に停止した状態

・「死の三徴」
■①心拍動の停止
■②呼吸の停止
■③瞳孔の散大と対光反射の消失

・3つを確認し,かつそれが不可逆的であると判断した時点をもって心臓死と判定するのが一般的

・三徴が揃っても不可逆的でなければ死とは判定できない

2 脳死

・日本では,脳死を人の死とみなすのは臓器移植を前提とする場合に限られる

・法的脳死判定:マニュアルで厳密に定められた手順に沿って,法で定めた基準を満たした場合のみ「脳死」と判定する手続き

・脳死の多くは頭蓋内圧亢進によって引き起こされる

B 死体現象

・死体現象:心臓死の後に身体に現れる物理的,化学的,生物学的変化を総称したもの

・死体現象には,心臓死の後,まもなく現れる早期死体現象(死斑,死後硬直,角膜混濁など)と,時間を経てから現れる晩期死体現象(自家融解,腐敗,ミイラ化,死ろう化,白骨化など)がある

・多くの死体現象が現れていれば,それは死を表し,とくに晩期死体現象が生じていれば,医師でなくても死亡を判断し得る

1 死斑

・心停止後,血液循環は停止し血管内血液は重力に従って下方に溜まる

・仰臥位で死亡しているならば下部となる背面側に死斑が出現する

・心停止後
■約30分:薄く
■2時間:はっきり
■6~8時間:著明
■心停止後18時間まで:死斑は指圧によって消退する
■それ以降:消退しなくなる(死後18時間以上)

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