ストレスに対するマネジメント P294

A 救急活動でのストレス

・大災害や悲惨な災害現場,犯罪などのストレスを引き起こす物理的・精神的因子により,とくに精神的に大きなダメージを受けやすい

・災害現場など:救助救急活動に従事する消防職員も被災者と同様な体験を受け,また職業的責任から精神的影響が大きく,ストレスを受けやすい

1 ストレスの概念

・ストレス:体外から加えられた各種の有害な原因に応じて体内に生じた障害と,これに対する防衛反応の総和

・惨事ストレス
■火災などの大きな災害現場や戦場などで,悲惨な体験や恐怖などの体験をしたことによって受ける強い精神的ショック,ストレス
■非常事態ストレスや心傷性ストレスとも呼ばれる
■大震災のような突発した災害発生時だけでなく,日常的な業務のなかでも経験される

・消防官:隠れた被災者

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

・職場生活でのストレスも増加している
■仕事の質・量の問題がもっとも多い
■次いで、仕事の失敗・地位の発生など
■対人関係など
※ストレスに伴う精神障害などの労災補償状況は年々増加傾向
2 ストレス反応

・惨事ストレスによってもたらされる反応:誰にでも起こり得る一般的な反応であり,「異常な状況における正常な反応」と理解されている

・反応としてみられる症状は次のようなものがある

①解離症状

・呆然とし,記憶が途切れている。感情が湧かない

②再体験症状

・当時の場面が何かのきっかけで甦り,嫌な気分になる。出来事に関連する悪夢をみる

③回避症状

・出来事を思い出させるような人・場所・状況を避ける。これまで楽しんでいたことを避ける

④覚醒症状

・イライラする。眠れない。過敏,過剰に用心深くなる

⑤自責感・生き残り罪責感(サバイバーズ・ギルト)

・できなかったことや,しなかったことを必要以上に後悔する。自分が無事であったことを責める

⑥組織や仲間に対する怒りや不満

・これだけのことをしたのに組織は守ってくれない,こんな思いをしているのに誰もわかってくれないという気持ちになる

⑦仕事に対する意欲の低下

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