消防機関における救急活動の流れ P245

消防機関における救急活動の流れ:119番受理,出動指令,出動,状況評価,初期評価,全身観察・重点観察,緊急度・重症度判断,医療機関の選定および連絡,車内活動(継続観察,詳細観察),医療機関への収容および医師への引き継ぎ

消防機関における救急活動の流れ

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

A 119番通報受信と通信体制
1 通信指令の概要と役割

通信体制:迅速な救急活動を実施するうえで必要不可欠なシステム

通信指令室

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

・通信指令の役割:①火災・救助・救急の判断,②災害発生場所の把握,③災害内容の把握,④出動隊の判断,⑤口頭指導,⑥出動隊への情報提供,⑦災害情報による関係機関への連絡,⑧病院選定および連絡,⑨災害対応における時刻管理など

①消防隊との連携(PA 連携)

・PA 連携:消防隊などを要請して、救急隊と連携活動を行う

・狭隘な場所や高層階など傷病者の救出搬送が救急隊単隊では対応の困難な場合

・心肺停止などで多くの処置が必要な場合

・直近の救急隊が出動中の場合など

②医師要請

・現場に医師を要請:ドクターカーやドクターヘリの運用を行っている地域や交通事故などで救出に時間を要し,医師による早期の治療が必要な場合など

2 出動指令

・原則として救急事故の発生場所にもっとも近い救急隊に出動の指令を下す

3 口頭指導
・口頭指導:通報者やバイスタンダーなどに対して,通信指令室や出動途上の救急隊から電話を活用して行われる
■具体的な内容:①心肺蘇生法,②気道確保・異物除去法,③止血法,④熱傷手当,⑤指趾切断手当などの応急手当など
B 出動

・現場までの安全かつ迅速に到着できる経路を確認し,必要に応じて感染防止衣,個人防護具など,その事故種別に応じた対応を整え出動

・指令内容によって,現場活動に必要な資器材をあらかじめ準備する

C 現場活動

・傷病者のみではなく家族などを含めた関係者に対しても適切にコミュニケーションをとり,円滑に救急活動を行うことが必要

・現場活動の注意点

■傷病者の救命を主眼として活動する

■傷病者や関係者の立場に立ち,いたわりと思いやりの心をもって行動する

■単独行動であっても組織の総合力を考慮する。また個人的な行動を慎み,救急隊員相互の連携を図り行動する

■不安感や焦燥感のある関係者や衆人環視の中で行動することを認識し,沈着冷静に行動する

1 状況評価

・状況評価:救急現場に到着後,傷病者に接するまでに行う活動

■二次災害の危険がある場合:危険の排除を優先して行う

①感染防止

・血液・体液などからの感染を防ぐため現場到着までに必要な感染防止の個人防護具を着用する

・現場到着後にも事故形態や傷病者の状態に応じてマスクやゴーグルなどの個人防護具を追加する

②携行資機材の確認

・119番入電時の内容から,救急活動に必要な資器材の確認と準備を行う

③安全確認と二次災害防止

・救助者の安全を確保するため周囲の状態を迅速に確認する

・危険が予想される場合:直ちに他隊や医師,警察官の応援を要請し,安全確保に努める

火災
・火災による傷病者:熱傷,各種ガス中毒,転倒・転落・墜落による創傷を負い重症化している場合が多い
・二次災害発生の危険性が高い
交通事故
・二次災害が発生する危険性が高い
・安全管理体制を確立して活動する
・二次災害発生の危険性のある現場:傷病者を安全な場所へ移動してから救護活動を開始する
救助活動
・早期に医師の出動を要請する
ガス漏洩事故
・ガス漏洩事故:ガスの特性によってさまざまな中毒症状が生じる
・二次災害が発生する危険性が高い
・活動に必要な情報について:関係者から入手する必要
疾病救急の場合
・ショッピングセンターや駅舎など公衆の出入りする場所で傷病者が発生した場合:衆人の行動に対する現場統制が必要

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