体温上昇  P540

A 定義・概念

・腋窩温で37℃以上を体温上昇とみなす

・正確な体温を知るためには中心部体温の測定が望ましいが,日常生活や病院前では腋窩温や鼓膜温で代用することが多い

・体温上昇
■発熱,高体温が含まれている
■両者は原因,病態,対応に関して異なるため区別が必要

1 発熱
・何らかの原因で体温調節中枢の設定温度が上昇し,身体がそれに応じて積極的に体温を上昇させた結果が発熱である
・発熱は目的をもった身体反応である
2 高体温

・種々の原因で身体に熱が蓄積し,体温調節機能の不足,異常,または停止をきたして体温が上昇した状態

B 発症機序
1 体温の調整

・体温調節の中枢は視床下部

・体温が低下すれば体温調節中枢の冷感受性ニューロンの活動が亢進

・体温が上昇すれば体温調節中枢の温感受性ニューロン(温ニューロン)の活動が亢進

・体温の低下に対しては
■体表の血管が収縮して熱の放散を減らし,シバリング(ふるえ)と呼ばれる骨格筋の小刻みな不随意収縮が生じて熱産生を増やす
■シバリングは強力な体温上昇の手段
・体温の上昇に対しては
■体表の血管が拡張して放熱を増やし,必要に応じて分泌される汗が気化熱を奪って体温を下げる
■汗の蒸発さえ確保されれば発汗は強力な体温下降の手段となる

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