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宇土シティは不思議スポット

僕が住んでいる熊本市南区から、
車でほんのちょっと行ったところに、
宇土市という街があり、
そこに宇土シティというショッピングモールがある。

日本の地方都市の郊外によくある、
何の変哲もない、
ちっちゃなモールだが、
なぜかうちの奥さんは、
ここに行くと様子がおかしくなる。

たとえばここのモールには、
サイゼリアとかはま寿司とか、
どこにでもあるような、
チェーンの飲食店もあるのだが、
夜に外食しようかという時にも、
なぜかうちの奥さんが、
ここのモールにある店に行こうと、
店名まで名指しで言ってくることがあり、
そこで食事していると、
わけのわからないことを言い出すことがあるのだ。

つい2.3日前にも、
そこのモールにある居酒屋で、
遅めの夕食を食べていて、
突然奥さんが
わけのわからないことを言い出した。

その話がどんなにイカれているかというと、
例えば、「日本にはかつて、
アトランティス大陸が海に沈んだ時に、
その影響で水位が上がって、
かなりの地域が水没した歴史があるんだけど、
その時にも阿蘇のあたりは
水没せずに残っていただろうね」
などと言ったりする。

僕は「また始まったよ」と、
うんざりしてちょっとイライラするのだが、
それでも適当に合槌を打っていると、
「その頃の人類は地下に避難していた」
とか言ったりするのだ。
「でも地表が洪水で住めなくなっているんだから、
地下も水没しているはずだよね」とか、
辻褄の合った返答をしていると、
「その時の科学技術は今の比じゃないから、
地下には水没をまぬがれた階層があった」とか、
妙に理路整然としているようなことを言うのだ。

そして「その頃地下で暮らしていた地底人たちは、
今でも地下の都市で暮らしている」
などと言い始める。

「地底人と地表の人間が
交流していないのはなんでなの?」と聞くと、
「あまりにも科学のレベルが違い過ぎるので、
会話が成り立たないから」なのだそうだ。

そうなのか、僕たちは地表に取り残された、
未開の種族だったのか、などと、
感心したりはしない。かといって、
統合失調症じゃないかと疑うほど、
奥さんを信頼していないわけでもないのだ。
次の日の朝にはなんとなく正常に戻ってもいるので。

この文章を書いたのは、3年前なのですが、
今でも時々、
この宇土シティに行っています。
昨夜も行きました。
ちなみに3年前に行ったこの居酒屋は
もう閉店しています。
てせもサイゼリヤはまだ健在なので、
昨日はサイゼリアで会食しました。



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