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摘発された社労士事務所

・知り合いからのススメで

3年前の出来事である。当時自分は税理士事務所で働くことを夢見ていた。自分がいつか将来税理士事務所で働きやすくなるようにと、以前働いていたグループ会社の上司から社労士事務所を紹介された。ただ、決して良い場所ではないと言われた。

・週に3回を条件にお世話になる

当時、ネット販売の会社で週に5〜6日働いていたが、もしものために籍を残そうと思い、社労士事務所には週に3回働くことを条件に掛け持ちで働くことになった。

・殺伐とした異様な雰囲気の中で

火・水・金で働くことになり、火曜日に初出社となった。入社していきなり、自分の上司がお局だと分かり気分が萎えた。そして、その事務所の女社長もかなりやばかった。決して大声で怒鳴り散らすような感じではないが、ひたすらに社員を詰めまくって正そうとする人だった。入社していきなり頭を抱えることになった。

・スパルタな業務

業務内容としては、ラインからの返事を返信したり、社長から頼まれた顧客のファイルをすぐにピッキングしたりとなかなかに動く業務だった。

最も大変だったのは、事務所に備え付けのAppleのパソコンを用いて請求書を作成することだ。遠隔の経理と電話でやり方を聞きながらAppleを操作するという、自分にとっては難易度の高いものだった。

何度話を聞いてもAppleを上手く操作はできず、しまいにはお局に詰められる始末だ。経理担当者には事前にマニュアルを用意してほしかった。ちなみに、この事務所のお金の流れを唯一把握していたのはその経理だけだった。

・救いの木曜日


2日間連続で働いた後、ネット販売の職場に仕事をしに行った日だ。前日までの殺伐とした雰囲気から解放されて心置きなく物販の登録や出荷作業をしていた。正直、問題の社労士事務所には行きたくないと思った。

・社労士事務所3日目

金曜日、布団から起きようとした朝、胃がキラキラしていた。さらに、体が拒否反応を起こしていた。社労士事務所に行きたくないと身体が反応していた。それでも社労士事務所に出勤した。この日もやはりお局から詰められた。社長は決して自分のことを詰めなかったが、周りの管理者や遠隔の経理にひたすら詰めていた。この日の帰り、心が疲弊したのを感じた。

この社労士事務所は入れ替わりが激しいのか、1ヶ月働けたら良い方だと言われた。1日で辞める人や、出勤して半日で辞めさせられる人もいたようだ。自分が出勤した3日間の中に、その日で辞めた人も2〜3人いたようだ。滅茶苦茶な事務所だが、頑張った社員には次の月にそれなりに時給をあげてくれる社長なのだ。ちなみに、仕事以外の飲みの場ではとても優しいのだとか。

・土曜日の午前に

土曜日はネット販売のお仕事だった。午前の業務中、以前の職場の上司より電話をいただいた。社労士事務所の件でだ。お局と社長より自分が上手く業務ができていないことにクレームをもらったようだ。

そのことを自分に報告してきたようだ。自分もその件でつい感情的になってしまい、流石にもうあの社労士事務所で働きたくないと伝えた。そしたら元上司は自分の気持ちを理解し、その社労士事務所には行かなくてもいいからと言った。

3日で終わった社労士事務所だが、ネット販売の会社に籍を置いていたのは正解だった。その後半年間、ネット販売の会社で引き続きお世話になり、遂に念願の税理士事務所に入社が決まった。そこもすぐ辞めたものの。

ちなみに、その上司も顧問としてその社労士事務所に出入りしていたが、自分が辞めた7ヶ月後に辞めたようだ。その際、あの社労士事務所は近いうち摘発されるだろうと話していた。ちなみに、お局上司と遠隔の経理も社長に耐えかねてすでに辞めていた。その際、事務所の中が大変なことになったのだとか。

・摘発されていた社労士事務所

社労士事務所を辞めて2年半が経った日、ふとその事務所が気になった。たまたまその社労士事務所を知っていた仲間に連絡をして、その事務所を知っているかどうかを伺った。すると、国の運営するホームページのURLが送られた。

そのページには問題のあった会社が多数載せられていた。その中に、例の社労士事務所の名前があった。どうやら、不正に助成金を得ていたようだ。また、その社長は社労士ではなかったのだが、社労士の独占業務をしていた疑いもあったという。

‥この出来事や税理士事務所を辞めて以来、士業のお仕事は自分にとって縁がないのであろう。社労士事務所を辞めてから3年が経つが、あの3日間は今でも忘れられない。


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