別冊・医学のあゆみ p101-105を読んで

 医師偏在と人口減少に伴う医師需要の減少、医師の高齢化が問題として挙がるが、その分析に用いる測定スケールや指標により結果は大きく異なる
。適切な測定スケールと指標を用いて、医師需要減少と地域格差の対策を行うべきであると述べている。

 測定スケールは地域の区分のことであり、かつて都道府県単位に区分していた。しかし徳島県のように人口当たり医師数が最大の地域と、最小の地域では2倍の開きが出ており都道府県内で大きな格差がみられる場合もある。現在は主に、一般の入院にかかる医療を提供することが相当である二次医療圏ごとに区分されている。
 測定指標はかつて人口対医師数で評価されたが、区域内の世代ごとの医師需要を反映できていなかった、このため現在は性別や年代の医療需要に応じ調整した需要調整人口対医師数を求め、医師数の地域間格差を検証している。調整前に比べ、調整後の方が医師の地域間格差は拡大していることを明らかにしている。厚生労働省は需要調整人口対医師数を指標とした医師偏在指数を元に政策を展開している。
 2029年頃に医師の需要と供給は均衡しその後供給過剰となる、また無医大県構想から医学部が増設された1970年代入学者が2030年頃に65歳を迎え、高齢医師割合は急速に高まる。医師が少ない地域でより顕著となる。医師数地域間格差是正のため、入試時点での地域枠、臨床研修医の都道府県別制限、専攻医時点でのシーリングがあるが長期的な効果は現状明らかではない。
 適切な測定スケールと測定指標をもとに医師需要に合わせた医学部定員の設定と医師偏在への対策が求められていると述べている。

 医師偏在と医療需要について、医療現場に従事する立場として測定方法と問題点を把握する必要があると考えた。

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