#2.頭からギャンブルが離れない

父が地元からやってきた。なんでそんなアホな事をしたのかと叱られた。当然だ。本当に、過去に戻れるなら戻りたい。

兄は人からよくお金を借りる人だった。だから、人に頼れる。弟はバイトをしっかりして、その資金の中で買いたいものを買っている。俺は、安易になんの知識もないままでバイナリーオプションに手を出してしまった。ああ、本当にバカだ。悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。

明日、金曜日に振り込んだ最後の2万円がハイローに入金される。もう一生投資はしないと親に誓った。でも、少しでも資金を増やして出金したら足しになるんじゃないか、もしかしたら大勝ちして弁護士に依頼しなくても良くなるのではないか。そんなはずはないのに、そんな妄想がずっと頭を駆け巡る。

ああ、俺はどうしたら良い。明日、弁護士に連絡を入れることになっている。短期間の借入は任意整理に応じてくれない事もあるという。やばい、本当にやばい。自己再生も自己破産もできない。親と叔母に奨学金の一括請求がいってしまうからだ。ああ、本当にどうしたら良い。お金が欲しい。お金が欲しい。お金が欲しい。

明日入金される2万円はもう、溶けたものだと認識されている2万円だ。勝って、出金して少しでも返済実績を作った方が良いだろうか。それともそのまま2万円を出金すべきだろうか。

ああ、明日が来るのが怖い。いやだ。地球が終われば全てが終わるのに。俺の都合で地球は終わってはくれない。


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