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道草日記

私は道草をくう
歩いている途中ではたとくう
小腹が空いたときにくう
大腹が空いたときにはガツガツとくう
ちょっと口寂しいときもくう

口のなかが草のにおいで充満して
そこだけが360度草原になったような気がする
ひろびろとした草原に風がふく
そんな草原を私は口のなかに含んでいる
口中の草原で私はねそべったり
走り回ったりする

世にサラダというものあり
このサラダを食わず道草をくう私を
巷間、狂と呼ぶ
土に生えた草の
どれを食うかで血眼になり
草をくう快活な喜びを忘れて
他者を糾弾する陰惨な喜びを得て
いつしか私も草原に走らぬ彼らを
軽蔑する喜びを得て

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