化けの皮
社交的すぎる人は苦手だ。
穏やかぶっているが時折苛立ちを見せる人はもっと嫌いだ。
気に入らないことがあると本性を見せる。
だったら最初から見せろよ、と思う。
淡々と自分の仕事をこなしている人は好きだ。
したたかで凄みのある人も好きだ。
器のデカイ経営陣には尊敬しかない。
私の好きな人たちは他人を責めないし、
許す心を持っている。
ただキレたら手に負えない。
その振り幅もたまらない。
凄みがありカリスマ性もある。
幸運にも私はカリスマ経営者や、
器のデカイ経営陣と働くことが多かった。
極上の安心感と心地良い緊張感があり、
成果を出せる環境をいつも用意してくれた。
細かいことは言わない。
結論だけ。
そして任せてくれる。
しかし一度だけ、
器の小さい経営者と仕事をしたことがある。
一切の凄みを感じなかった。
長年共に働いている生え抜きのスタッフたちは尊敬しているようだった。
凄い人なんだと言われても、
全く感じない。
嘘くさいのだ。
綺麗なことを言う。
それっぽいことを言う。
いつも回りくどい。
つまらない。
穏やかそうに振る舞っているが、
時折苛立ちを見せていた。
自分の思い通りにならないとイライラするのだろう。
しかしトップダウンをしない。
じゃあイライラするなよ、と言いたいが、
必死に自分を保っているように見えた。
幼少期に馬鹿にされたトラウマがあるのか、
非常に屈折しているように見えた。
めちゃくちゃ話が長いのだ。
足元をすくわれないよう慎重に慎重に整合性をとるのだ。
誰も覚えちゃいないし、
興味ないよ、と思ったが本人は必死だ。
哀れだ。
そうな風に思ったのを記憶している。
そんな必死に自分を保ってきたのに経営不振から、イライラが募り生え抜きに皆の前で八つ当たりをしていた。
あっ、終わったな。
尊敬してくれていた生え抜きの心を離したのだ。
化けの皮が剥がれた。
短気な人間がいくら穏やかぶっても無理がある。
無能が有能ぶってもボロがでる。
自分を受け入れて、身の丈に合った環境で、
真剣に生きれば良いのに、歪んだコンプレックスを抱えて背伸びをしても上手くはいかないだろう。
歪んだコンプレックスを芸術的に落とし込めれば狂気の天才が誕生する。
紙一重なのかもしれないが、
全く別物だ。
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