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JAK阻害薬

JAK阻害薬とは?

JAKはヤヌスキナーゼ(Janus kinase)の略で、サイトカイン刺激を細胞内に伝える役割を持つ。STATというタンパク質と一緒にはたらく。

JAK阻害薬は、このJAKを阻害することで、炎症の進行をストップする。
関節リウマチを中心とする免疫系の疾患に用いられる。

JAK阻害薬の種類

現在のところ、日本で使用可能なJAK阻害薬は5種類。

いずれも関節リウマチの適応をもち、その他の適応を持つものもある。
代謝排泄のされ方にも違いがあるので、腎機能が低下した患者さんへの使いやすさや、他の薬との相互作用の点でも使い分けができそう。

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他のリウマチ薬との併用について

ゼルヤンツには、添付文書に次の記載がある。

本剤とTNF阻害剤、IL-6阻害剤、T細胞選択的共刺激調節剤等の生物製剤や、タクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、ミゾリビン等の強力な免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないこと。

リンヴォック・ジセレカも基本的に同じことが書かれている。

一方、オルミエントにはこう記載されている。

〈関節リウマチ〉
免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、本剤と抗リウマチ生物製剤や他の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤との併用はしないこと。
〈アトピー性皮膚炎〉
免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、本剤と免疫調整生物製剤、他の経口JAK阻害剤、シクロスポリン等の強力な免疫抑制剤との併用はしないこと。

つまり、関節リウマチではタクロリムスなどとの併用は可能(少なくとも添付文書上は)。
実際、メーカー発出の資料でも、タクロリムスとの併用症例は特に何の注釈もなく掲載されている。

最後にスマイラフでは下記の通り。

本剤とTNF阻害剤、IL-6阻害剤、T細胞選択的共刺激調節剤等の生物製剤や、他のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の強力な免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないこと。

「等」の部分には、ゼルヤンツと同様の薬剤が想定されているのだろう。でも明記されていないので分かりにくい。

まとめると、
・オルミエント:タクロリムスやミゾリビン等との併用は(添付文書上は)可能
・スマイラフ:明記されていないが、おそらく併用不可
・その他:併用不可
となる。(バイオ、JAK阻害薬どうしの併用はいずれも不可。)

ここまでで十分ややこしいのだけど、さらに、添付文書ではこれらの薬は併用禁忌の欄には記載されていない。「用法および用量に関連する注意」というところに記載されていて、なんとも分かりにくい。
どんな経緯でこうなったのか…。通常書かれているところにないので、添付文書をじっくり読まないと見落としてしまいかねない。
事実上併用禁忌に相当するような書き方をしているのだから、添付文書の記載箇所についても整備されてほしいと思う。

最新の話題

つい昨日、オルミエントに新型コロナ肺炎の適応が追加された。正式には「SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)」。

新型コロナに使われるリウマチ薬といえば、これまではアクテムラ(トシリズマブ)があった。ただしアクテムラは適応外。
これに対してオルミエントは正式に適応を取得したことになる。

これから色々な使用経験が出てくると思われるので、要チェックだ。


※タイトル画像は以下の論文から引用した:
Alfonso Quintás-Cardama, Srdan Verstovsek. Molecular pathways: JAK/STAT pathway: mutations, inhibitors, and resistance. Clin Cancer Res. 19(8):1933-40 (2013)(PMID 23406773)

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