あれから二年 #12

工事が着工して4日目。

大工さんと話をして判明したこと。

クロス屋さんは2月8日にパテを塗りに来て、

クロスを貼るのは10日か11日頃になる、と。

ええええー、まずい。義父がショートステイから帰ってくるのが8日。

間に合わない!

間に合わないのは仕方ないこと。

だけど、当時の義父は、不満や小言を夫がいないときに私のところに来て言うのが日常茶飯事だったため、私は「もうダメだ・・・かなりピンチだ・・・」

と自分で自分を追い込んでしまっていた。

ケアマネさんからは「工事が間に合わなければ、デイサービスの日を前倒しして毎日でも行ってもらいましょう!」と提案されていたので、別の日のデイサービスを振り替えして、クロス屋さんの仕事の日に合わせてデイサービスへ行ってもらうことにした。

義父がショートステイから帰ってくる2日前に決めてすでにデイサービスも予約したので、義父が帰ってきたら説明に困るし、また愚痴や文句を言ってデイサービスに行きたくないと言い出し始める気がして、私の頭の中は、悪夢のシナリオを書いては消して・・・を繰り返していた。

2月8日 クロス屋さんが入り、パテを塗ってもらう。

午前、午後の二回でパテを塗り、9日は乾燥させる日となった。

8日夕方、義父が帰宅。

夫が帰宅するまで私は二階にいて、義父とは距離を置くことにした。

夫が帰宅し、夕飯時。

久しぶりに家族団らん・・・♫ とはいかない。

義父「直ってないじゃないか!」

夫「いろいろ都合があって、親父の泊まりに間に合わなかったんだよ。だから親父にはデイサービスに行ってもらうことにして、日にちを別の日と振り替えたから」

義父「なんだと・・・?また行かないといけないのか!またオマエたちが勝手に」

夫「仕方ないだろう、親父の思うように全部いくと思うな。勝手なこと言うな!」

・・・・

沈黙ができ、それからしばらくしてから義父から

「わかったよ」

と言われた。

翌日の9日

夫からは、なるべく二階にいて距離を取ってていいから。と言われ、義父がデイサービスに行くまでは、静かに二階で過ごしていた。

普段と同じように義父がデイサービスに行き、乾燥中の壁を見ながら私は夕飯を作り、これからいろんな不満を義父から聞かされるんだろうか・・・

と少し憂鬱になる。

クロス屋さんが来て静かに作業が始まり、10日にはみるみるうちに綺麗なリビングになった。


引っ越した時の、家具を入れる前のリビングのようになり、嬉しくて床の水拭きを念入りにした。

襖も障子もストレスなく開くようになった。

これで義父の力でも苦労することなく開け閉めできる。と思った。

そして夕方。

義父が帰宅。

夫も帰宅して一緒に夕飯を食べる、という時に

「おめでとう、よかったね」

と義父から告げられた。

嬉しくて、すごく嬉しくて。

憂鬱だった気持ちは一気にふきとんだ。

夫はビール、私はチューハイ、義父は大好きなコーヒーで乾杯した。

「お疲れ様、みんなで頑張ったね。」

あれから。

楔が下から入り、新しく壁を作ったことで傾きもほぼ平らな状態になり、寝ていても傾きを感じることなくしっかり眠れるようになった。


義父とたくさんぶつかりあったり、神経をすり減らしたり気苦労が絶えなかったり。

温かいご飯を囲んで、家族で楽しく食事したり。

なにげない日常が、リフォームされた家で新しく刻まれはじめた。

たくさんの人に頼って助けていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。

このエッセイが、困っている誰かに届いて少しでも元気になってもらえたらいいな、と強く願う。





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